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キャンパス内のテントでひらめく力を試す課題に取り組む学生(提供)=関西学院大学神戸三田キャンパス
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キャンパス内のテントでひらめく力を試す課題に取り組む学生(提供)=関西学院大学神戸三田キャンパス
キャンパス内でのキャンプ体験(撮影・小森有喜)
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キャンパス内でのキャンプ体験(撮影・小森有喜)

 テント内で作業をすれば、創造性が高まる? 関西学院大学がアウトドア用品メーカーのスノーピーク(新潟県)と行った実証実験で、その可能性があることが分かった。テント内と外でひらめく力などを試す課題を行ったところ、テント内のほうが正答率が高かった。(土井秀人)

 工学部の長田典子教授の研究室が、学生21人を対象に神戸三田キャンパス(兵庫県三田市学園上ケ原)で実験した。長田教授は人間の感じ方や価値観を科学的に捉え、製品開発に生かす「感性工学」を研究している。

 実験では、屋内(小教室)と屋外(芝生広場)で、テントのある場合とない場合の計4条件を設け、学生に課題を解いてもらった。課題の内容は、三つの漢字が示され、それぞれに同じ漢字を付け加えて二字熟語をつくるもの。例えば「屈」「曲」「骨」が示されたら、「折」が答えとなる。それぞれの場所で19問ずつ出題した。

 その結果、屋内、屋外ともにテント内での正答率が高く、科学的にも意味のあるデータとなったという。

 また、実験では「不快」「快適」「開放的」「閉鎖的」など、空間に対して抱いた価値や感情、印象も調べた。その分析により、開放的や陽気と感じると正答率が高い「アウトドア群」▽閉鎖的や緊張したと感じると正答率が高い「インドア群」▽空間の印象が正答率に影響しない「平常群」-の三つのタイプに分けられることが判明した。

 タイプによって、テントの感じ方が異なるという仮説も得た。アウトドア群はテントを「開放的」と感じて室内にいながら自然を連想しているのに対し、インドア群は「閉鎖的」に感じることで自分だけのスペースで作業に没頭できる-といった可能性だ。

 長田教授は「これまで体感的に語られてきたキャンプ体験と創造性の関係について、その一端が解明できた。研究を進め、個人の特性に合わせた空間を提供できるようにしたい」とする。

■「実験重ね科学的裏付けを」 工学部・長田教授ら分析進める

 関西学院大学とスノーピークは2020年に包括連携協定を結んでおり、今回の研究もその一環で進めている。神戸三田キャンパス(KSC)では、キャンプの要素を教育に生かす「キャンピング・キャンパス」を推進し、共同開発したマイボトルを使ったペットボトルの削減にも取り組んでいる。

 KSCは、キャンパス内でキャンプをしながらワークショップを開くなど、新たな学びの場づくりに取り組んでいる。関学大広報室は「キャンパスに非日常を融合させ、自由な発想でイノベーション(革新)を起こす学生の育成を目指している」とする。大学内に常設したテントにはいつも学生がおり、課題や作業を行っているという。

 21年4月からは、マイボトルを持参するとコーヒーや紅茶などの飲料を無料で提供するカフェをオープン。1年間でペットボトル7万7340本分を削減したという(マイボトルへの提供数から算出)。

 テントと創造性の関連についての実証実験は、長田典子教授らがスノーピークの運営するキャンプ場でキャンプを体験したことをきっかけに始まった。テントに泊まった長田教授は「テントがあるにもかかわらず、宇宙に包まれているように感じた」という。

 長田教授には「天井高効果」という言葉が浮かんだ。天井が高いと「自由」な気分になり創造力などを発揮し、低い場合には「閉じ込められた」感じで集中力が増して計算などの能力が高まる-という研究だ。

 当初はテントの「開放感」に注目したが、人によっては「閉鎖的」に感じることで成績が高くなるという可能性も分かった。心拍や呼吸など生理反応のデータも取っており、さらに分析を進めるという。長田教授は「オフィスやコワーキングスペースにテントを設置する取り組みが活発になっている。実証実験を重ねることで、それらの効果に科学的な裏付けを提供できる可能性がある」とする。

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