田んぼを管理する福本妙子さん(79)=兵庫県三田市=は、2000年からアイガモ農法に取り組む。農薬を使わず人にも環境にも優しいが、現実はアイガモを狙う野生動物との闘い。キツネやイタチ、アライグマ、カラスと「知恵比べ」が続いているという。(土井秀人)
現在、田んぼは3枚あり計約26アール。周囲を高さ約1・5メートルのネットで囲い、外側には電気柵を張り巡らす。上側もネットで覆っている。設置には1週間ほどかかり、離れて暮らす娘や孫らも手伝った。
空からはカラスが狙う。当初、白いテグスを張ると、2年ほどは被害に遭わなかったが、隙間から入られるように。カラスから見えにくい黒いテグスに変更したが、朝行動していたカラスが、太陽が出ている昼間に来るようになった。「黒いテグスが見える時間に、『社長出勤』するようになりました」。現在使う目の細かいネットにたどり着くまで十数年かかったという。
近年はキツネによる被害が大きく、年によっては「アイガモの7~8割をやられた」。山に近い土地柄が影響し、野生動物が田んぼに下りてくる。動物たちは休耕田の草陰に身を隠し、人がいなくなる瞬間を狙う。昼食を食べに戻った隙に入られたこともある。
キツネ対策では電気柵を導入した。高さや角度を変えるなど試行錯誤し、昨年、初めて被害がゼロになったという。
◇
福本さんがアイガモ農法を始めたのは、孫がアトピー性皮膚炎だったから。毎日食べる米だからこそ、農薬を使わず育てようと思った。
同じ頃、近くで同農法に取り組んでいた農家の言葉に感動した。「親から田んぼを譲り受けた時はゲンゴロウやタガメといろいろな生き物がいたが、今はいない。元に戻して次の代に渡したい」。メダカ、ウナギ、シジミ、ミズスマシ…。近くの川や池からも日本古来の生物が姿を消し、外来種が増えた。「生態系が変わってしまっている」
アイガモのひなは食欲旺盛で、雑草や虫を食べ尽くすという。泳ぐことで水が濁り、雑草が生えにくくなる効果もある。ふんも肥料になる。
ただ、アイガモはヒエを食べないため、人間が引き抜かないといけない。福本さんは7月いっぱいまで毎日のように田んぼに入り、機械を使ってヒエを取り除く。
◇
三田合鴨稲作会は1998年の結成。かつて11人いたメンバーは3人に減った。大きな農家が多く、後継ぎがいなくなったほかの田んぼを請け負うことが増え、手間のかかるアイガモ農法をやめたという。
福本さんも高齢となり、自分の食べる分と待っている人の分しか作れていない。「手間がかかって本当に大変。それでも体が動く限りは続けたい」。本庄小学校の児童を受け入れ続けているのは、有機栽培に関心を持ってほしいからだ。「店の売り場では虫が食べた野菜が残っているが、出荷している人たちは苦労して作っている。苦労した野菜に手が出せるようになってほしい」
水田を泳ぐアイガモたちが活躍するのは7月末までで、その後は食肉となる。福本さんはそのことも児童に伝え、優しく語りかけた。
「みんなも命をいただくことで成長して大きくなっている。命があるのは動くものだけではない。イネにも野菜にも命はある。『いただきます』は命をいただくこと。かわいそうという気持ちはあっても、感謝して食べてほしい」

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