三田

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ニュータウンの街路樹。景観形成に大きな役割を担う=三田市すずかけ台
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ニュータウンの街路樹。景観形成に大きな役割を担う=三田市すずかけ台
ニセアカシアの根上がりで道路に亀裂が入っていた=三田市あかしあ台1
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ニセアカシアの根上がりで道路に亀裂が入っていた=三田市あかしあ台1
ブロックが凸凹になっている部分も=三田市あかしあ台1
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ブロックが凸凹になっている部分も=三田市あかしあ台1

 まち開きから30~40年が経過した兵庫県三田市のニュータウンで、街路樹の大木化、老木化が進み、安全の確保や管理費の増大などが課題となっている。市内の街路樹の97%がニュータウンに集中。景観形成に果たす役割が大きく住民の関心も高いため、市は街路樹の適正な育成、管理に向けた基本方針を策定した。担当者は「基本方針を基に地域と連携し、持続可能な管理を行いたい」とする。

 市内には高木の街路樹が約1万4千本あり、人口千人当たりの本数は県内最多の約130本となっている。街路樹のほとんどがニュータウン整備時に植えられており、ウッディタウンでは「あかしあ台」「けやき台」など木にちなんだ地名が付けられている。

 住民に親しまれている街路樹だが、成長に伴う課題が目立つようになった。「根上がり」で道路の舗装にひびが入り、歩行者がつまずいて転倒するケースがある。枝が張り出すと見通しが悪くなり、通行の際の危険も生じる。2019年度、街路樹に関する市への通報件数は195件に上った(草刈りの依頼などを除く)。

 維持管理費も市財政を圧迫する。剪定(せんてい)や除草、木の状態の確認などで年間約1億6千万円がかかっている。通行を妨害する枝を切るなどの対応はしているが、景観を保つための剪定は十分にできていないのが現状という。

 改善に向けて市は21年9月から大学教授や住民らを交えた「街路樹のあり方検討委員会」を開催。市民からの意見募集などを踏まえ、22年11月に基本方針を策定した。

 基本方針では、景観▽安全・安心▽緑量・配置の適正化▽協働の推進-といった四つの観点について市の考え方をまとめた。市道路河川課の担当者は「街路樹は住民の思い入れも強く、伐採などは賛否が分かれる問題。地域と一緒になり、適正な管理をしていきたい」とした。

 基本方針は市のホームページで閲覧できる。

■「根上がり」道路に亀裂 凸凹で自転車転倒、高齢者骨折も

 歩道の至る所に亀裂が生じている。「根上がり」による凸凹で自転車が転倒し、骨折をした高齢者もいるという。街路樹の被害が特に深刻なのが、ウッディタウンのあかしあ台だ。ニュータウンの幹線、通称「リング道路」沿いなどにはシンボルとしてニセアカシアの並木がある。

 ニセアカシアは北米が原産。日本には明治初期に輸入され、各地で街路樹として植えられてきた。「ニセ」とつくが、日本でアカシアと言えばこの木を指すことが多い。歌の題材としても親しまれ、西田佐知子さんの「アカシアの雨がやむとき」(1960年)もニセアカシアだとされる。

 ほかの樹木に比べて地下の浅い部分で根が広がるため、根上がりの被害が深刻だ。成長が早いため、まち開き6~7年目の頃から、住民らは対策に追われてきたという。ニュータウンではランニングを楽しむ人も多く、他地域の住民から「あかしあ台は凸凹していて危ない」という声も聞かれるほど。また、ニセアカシアは繁殖力が旺盛で、国の「生態系被害防止外来種」に選ばれ、「適切な管理が必要」とされている。

 根上がりや老木化などの問題を受け、市は2018年、リング道路沿いのニセアカシア2本につき1本を切る方針を住民に示した。しかし反対する住民が署名活動を行うなどし、市は伐採案を撤回。19年10月には、住民や市、専門家らでつくる「リング道路街路樹のあり方検討会」が立ち上がった。

 検討会は22年3月までに5回開催。伐採に反対したメンバーらも参加し、議論を重ねてきた。安全や生物多様性の観点から、今後は根づきやすいボダイジュへ樹種を転換するとした方針案をまとめた。

 22年4~5月には全戸にアンケートを配布。回収率は32・9%で、うち89・7%の住民は「樹種転換をしていく」に賛同した。検討会の事務局を担った奥村芳和さん(75)=同市=は「時間をかけて議論を重ね、方向性を打ち出した。多くの皆さんに納得いただけると思う」と話した。

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