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期間限定メニューのトルコライス(850円)
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期間限定メニューのトルコライス(850円)
ジャンボチキンカツ(左=定食で700円)とジャンボチキン南蛮(定食で800円)。その後100円ずつ値上げした
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ジャンボチキンカツ(左=定食で700円)とジャンボチキン南蛮(定食で800円)。その後100円ずつ値上げした
3月で休店した三田キッピー食堂。デッキスペースは市役所前の広場に面しており、開放的
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3月で休店した三田キッピー食堂。デッキスペースは市役所前の広場に面しており、開放的

 世界トップクラスの辛さを誇る唐辛子入り激辛カツカレー。300グラムの鶏肉が皿からはみ出そうなほどのチキン南蛮。横浜発祥のこってり「家系ラーメン」…。市役所の食堂とは思えないようなメニューが一部で話題になっていた「三田キッピー食堂」が一時休店した。開店から3年。誤算もあって赤字が続き、リニューアルを決断した。メニューを一新して再出発を図るという。(土井秀人)

激辛カレー、皿からはみ出そうなチキン南蛮

 キッピー食堂は2020年2月、かつてあった食堂の撤退後にオープンした。森林整備などを手がける森口(兵庫県宝塚市)が設立した会社が運営。食器には世界三大青磁の一つとされる「三田青磁」を使い、地域の伝統工芸品の情報発信拠点を目指した。食堂内で陶芸家伊藤瑞宝さんの個展を開いたこともあった。

 市役所の食堂「らしくない」メニューが初めて神戸新聞の紙面を飾ったのは、その年の12月だった。ツイッターやインスタグラムなどのフォロワーが千人以上なら、特定のメニューが無料で食べられるキャンペーンを取り上げた。そのメニューは、いずれも約300グラムの鶏肉を使った「ジャンボチキンカツ定食」と「ジャンボチキン南蛮定食」。店長は「インパクトがあるのでSNS(交流サイト)向き」と情報拡散力に自信をみせていた。

 ちなみに当時の記事ではフォロワー(閲覧登録者)と注釈が付いていたが、神戸新聞の過去記事に同様の注釈は2件しかない。新しい言葉をどうにか分かりやすく伝えようとした結果、逆に分かりにくくなった現場の苦悩も垣間見えた。

 さらに21年9月には、皿からはみ出すほどボリュームのある「“ガッツリ系”のトルコライス」を期間限定メニューとして提供していることを報道。その2カ月後には激辛グルメにも手を出した。ハバネロの4倍以上の辛さとされる唐辛子「キャロライナ・リーパー」を使ったカツカレーだ。

 一時は世界一辛い唐辛子としてギネス世界記録に認定された唐辛子は、注文を受けてから摘み取り、刻んで調理した。紙面では「この辛さがたまらない」と汗を流しながら喜んで食べる客の姿を紹介した。

誤算もあって赤字続き…カフェ系で再出発へ

 さまざまな仕掛けにもかかわらず、経営は軌道に乗らなかった。そもそも市役所の食堂の運営は多くの自治体で苦戦しており、閉店してコンビニや売店に変わる動きもある。とはいえ、開店当初は1日約150人の市職員が来店すると見込んだが、ふたを開ければ10~20人しか来なかった。

 「(揚げ物などの)茶色い物が多いメニューが原因なのか、特に女性の来店が少なかった。ボリュームに魅力を感じてくれる人もいるのだが…」とオーナーの森口誠さん(68)は肩を落とす。さらに職員以外の客は市役所を利用する高齢者が中心で、「ガツガツ食べるのを望んでいないのではないか」との考えに至った。

 そこで、従来のメニューでの運営は3月末で終了し、現在はコンサルタントを交えて新たな展開を検討中。女性にも喜んでもらえる健康的でカフェのようなメニューにしたいという。再オープンは6月ごろを予定しており、三田キッピー食堂という屋号は変えない。森口さんは「市役所前は広場もあって開放的。環境としてのポテンシャルはあるので、市民のみなさんに利用してもらえる食堂にしたい」と話している。

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