尼崎JR脱線事故で卒業生5人が犠牲となった北摂三田高校(兵庫県三田市)の放送部が、事故を伝えるテレビドキュメント作品を制作している。25日で発生から18年。在校生のほとんどは2005年の事故以降に生まれた。当時を知らない世代が遺族や親友らを取材し、次代へ伝えようとしている。(土井秀人)
あの日のまま、変わらぬ部屋。母親に案内され、19歳で亡くなった息子への思いを聞いた。教諭となり、自分の立場から語ろうとする犠牲者の同級生に会った。事故現場に整備された慰霊施設「祈りの杜」にも足を運んだ。
23日、放送部が開いた追悼イベントで映像を流した。部長の岸上実日子さん(17)は取材を振り返り、涙した。「計り知れない苦しみがあったのだと思う。今でも思い出すとくるものがある。自分の命も、他の人の命も、一日一日を大切に生きる。言うのは簡単だけど、ちゃんと作品で伝えなければならない」
生徒と一緒に遺族や現場を訪ねたのは、元英語教諭の古川次男さん(66)。01年から北摂三田高に務めて、事故で教え子4人を亡くした。皆、卒業して2年目の春。大学生としてそれぞれの目標に向かって歩み始めたばかりだった。
毎年4月25日の頃になると、在校生に思いを語ってきた。「オールウェイズ・ザ・ベスト・パフォーマンス」。生きている一瞬一瞬を大切にし、いつも最善を尽くしてほしい。定年後も教壇に立ち続けたのは、夢や希望を突然奪われた教え子の無念を、生きた証しを、伝えるためだった。
古川さんから話を聞いていた放送部員たちは、21年夏に脱線事故を題材にした作品の制作を検討した。だが、テーマの重さから中途半端な気持ちではできない。部員でも意見が分かれ、いったんは保留となった。
22年3月、古川さんが再任用の任期を迎えた。いよいよ退任するに当たり、生徒たちは記録に残すことにした。なぜ真剣に事故について考え続け、語り続けるのか。取材を重ね、話を聞くうちに、「思いを受け継いで、形にしたい」と気持ちが一つになった。
当時勤務していた教諭らにも話を聞き、「いのちの絆」と題した7分間のラジオドキュメントを制作。22年のNHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン)で3位となった。
退任の1年前、21年春。古川さんは教諭として迎える最後の4月25日を前に、神戸新聞の取材にこう語っていた。「なぜ石碑があるのか。生徒だけでなく、先生でもほとんど知らなくなった」
石碑とは、学校の花壇にある「いのちの絆」と刻まれた石のこと。事故から2年後、当時の3年生が卒業するに当たり、事故や命の大切さを忘れまいと寄贈した。学年主任を務めていた古川さんは「語る人がいなくなっても、形として残したい」との思いもあったという。月日が流れ、当時からいる常勤職員は古川さんだけになっていた。
22年12月、石碑を設置した経緯を伝える説明板が設けられた。事故を知らない生徒が増える中、込められた思いを知ってもらうため学校が寄付を募った。
説明板を披露する式典では放送部が司会を務め、部員たちは思いを新たにした。「ラジオドキュメントでは事故のことを伝えた。今度は映像で、次へとつなぐ作品を作りたい」。いのちの絆のバトンを、受け取った。
追悼イベントの会場には、大阪教育大学2年生だった小前宏一さん=当時(19)=を亡くした母、恵さん(67)の姿もあった。「事故後に生まれた子たちが、これだけの作品を作ってくれて感謝しかない。(宏一さんが北摂三田高に通った)3年間があり、古川先生がいたからこそ、私たちの思いをつないでくれた」
作品は部員6人が6月ごろに完成させ、今年のNコンに出品する予定。
◇ ◇
■教え子亡くした元教諭「命の奇跡感じて」 放送部が追悼イベント
北摂三田高校放送部が23日、尼崎JR脱線事故の追悼イベントを「フローラ88」(三田市弥生が丘1)のホールで開き、市民ら約80人が訪れた。同高元教諭の古川次男さん(66)が学校外で初めて事故について語り、事故車両で救出活動に当たった三田市消防署員の体験談もあった。
古川さんは放送部が事故のテレビドキュメントを制作していることに触れ、「今、生きている命の奇跡を少しでも感じてもらいたい。事故が忘れられないよう形に残してくれることを、心から応援したい」と話した。
市消防本部の室谷健司さん(44)は現場での経験から「助けたいという気持ちだけでは、人は助けられないと痛感した。どんな状況でも対応できる技術、知識を身に付けなければならない」とした。
三田少年少女合唱団による合唱もあった。

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