■選定本格化 来年早々にも擁立
兵庫県の井戸敏三知事(75)が今期限りで退任する意向を表明したことを受け、日本維新の会の県組織が来年夏に予定される知事選に向けて独自候補の選定を本格化させている。井戸氏が表明した11日に会見を開き、次期知事選への参戦を宣言。具体的な候補者の公表は避けたが、既に数人に絞り込んでおり、来年早々にも擁立する構えだ。(石沢菜々子、藤井伸哉)
「県民の感性にしっかり応えられるリーダーを求めたい」。井戸氏が退任を表明した11日夕、県議会の維新会派に所属する8人が集まり、会見に臨んだ。
新型コロナウイルス対応での発信力の弱さや、公用車問題を巡る県民感覚とのずれを指摘し、「住民目線」を持つ知事を誕生させる方針を強調。異例の会見を行った背景には、「闘う姿勢を明確に示すべきだ」との党代表・松井一郎大阪市長の意向もあった。
維新が求める知事像として「民間経営手腕を持ったリーダー」を挙げ、柔軟な発想力のある特定の人材を検討していることをにおわせたが、「本部と連携し(候補者決定を)急ぎたい」と明言を避けた。関係者周辺では、党所属の参院議員片山大介氏(54)や清水貴之氏(46)らの名前も挙がる。
昨春の大阪府知事・市長の入れ替えダブル選圧勝の余波を受け、兵庫の地方議員も大幅に増えた。昨夏の参院選でも選挙区で維新の現職がトップで再選。「知事選に擁立できる地盤ができた」として、10月に初めて選挙対策本部を設けた。
票の掘り起こしも見据え、来年中に実施される次期衆院選には、公明現職のいる2、8区以外の10選挙区で候補者の擁立を模索し、攻めの姿勢を貫く。
ただ、11月に看板施策「大阪都構想」が住民投票で否決され、路線の転換を余儀なくされた。以前から訴える「身を切る改革」は、井戸県政でも行財政改革で実績を上げており、党内からは「井戸県政には大きな失点がない。どれだけ対立軸を示せるかが課題だ」との声も漏れる。