兵庫県知事選を巡る動きが急展開を見せている。日本維新の会代表の松井一郎大阪市長(57)が23日、知事選に立候補する意向を固めた大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)から推薦要請があれば支援を検討する考えを表明。維新が県知事選の独自候補として絞り込んでいた一人であることも判明し、斎藤氏を推す自民党の一部県議と連携する可能性も浮上している。
「われわれの考え方、政策が一致すれば支援したい」。斎藤氏から支援要請があった場合の対応を問われ、松井氏はこう述べた。
24日に知事選への立候補を表明する金沢和夫副知事(64)が、任期満了で退任する井戸敏三知事(75)の後継とされていることを念頭に「井戸県政を全て否定するわけではないが、見直す時期が来ている」と指摘。「組織の論理で知事のポジションを禅譲していくのは違う」とくぎを刺した。
斎藤氏は2018年から大阪府に出向。当時府知事だった松井氏の下で財政課長に就いており、松井氏は「非常に優秀な人材だ」と持ち上げた。
維新の県組織「兵庫維新の会」の幹部らも昨年、斎藤氏に接触を始めていた。県知事選で擁立を検討している独自候補の一人に挙がっており、関係者は「年齢も若く、総務省出身で頼もしい人材」と評価する。
ただ、新型コロナウイルス禍もあり検討は今年に入って停滞。松井氏の支援検討の発言は寝耳に水だったといい、別の関係者は「戸惑っている」と驚いた様子。現時点で党本部から指示はないが、「決定があれば、従うだけだ」とした。
知事選を巡っては、県議会最大会派・自民党が金沢氏を支援する一方、一部県議が井戸県政の継承路線からの刷新を訴え、会派を離脱した上で斎藤氏を擁立する方針。斎藤氏を支援する自民県議の一人は「政策面で合意でき、(維新から)乗ってきてくれるなら助かる」と歓迎する。(三島大一郎、紺野大樹)