兵庫県知事選が告示された1日午前、立候補を届け出た新人5人が神戸市内で第一声を上げ、17日間の舌戦が始まった。5期務めた現職知事が退任する今回は、推薦する候補を巡って自民党県連が割れ、県政史上初となる「自民分裂」の異例の構図に。出陣式では、互いの陣営をけん制する場面もあった。勢力拡大を狙う日本維新の会の相乗りもあって、早くも激戦の様相となった。
自民と維新が推薦する元大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)は、神戸市中央区の生田神社会館で出陣式を開いた。自民からは県内選出の国会議員や、斎藤氏を擁立した県議、神戸市議らが出席。斎藤氏は「兵庫県は副知事が知事になることが約50年続いたが、変化の時代には新しい発想、手法が必要だ」と訴えた。自民の野田聖子幹事長代行も駆け付け「これは(自民の)分裂ではなく拡張。より強靱(きょうじん)な知事をつくるための試練だ」などと激励した。
今回の知事選を巡っては昨年末、県議会最大会派の自民が前副知事の金沢和夫氏(65)に立候補を要請したが、その後、会派の方針に反発した一部の自民県議が斎藤氏を擁立。自民県連所属の国会議員も斎藤氏を推し、最終的に自民党本部が斎藤氏の推薦を決めた。
神戸・元町の大丸神戸店前であった金沢氏の出陣式には、党決定に反して金沢氏支援を貫く自民県議団所属で県議会議長の藤本百男氏らが出席。金沢氏は「兵庫には、どの地域も見捨てることなく歩んできた歴史がある。バランスの取れた政治をする」と強調した。
井戸敏三知事(75)もマイクを握り、斎藤氏推薦を決めた自民の国会議員や自民党本部を念頭に「中央支配か、地方の自立か。国に支配される兵庫でいいのか」とけん制した。
元兵庫県議の金田峰生氏(55)は、推薦を受ける共産党の国会議員らと元町駅前で第一声。県のコロナ対応を「医療崩壊を招いているのに、まだ保健所や病院を減らそうとする」などと批判。「優しく温かい県政に転換する」と訴えた。
元加西市長の中川暢三(ちょうぞう)氏(65)は三宮の街頭で演説し、「兵庫県は総務省OBの知事が続き、国への依存が強くなった。今回も構図は同じだ」と他候補を批判。「経営感覚を持って兵庫を立て直す」と強調した。
音楽塾経営の服部修氏(47)は三宮で「(コロナ禍前の)元の生活に戻す。緊急事態宣言、時短休業ももうしない」と訴えた。