20年ぶりにトップが交代する兵庫県知事選は17日、最終日を迎え、17日間にわたる舌戦を終えた。5人の候補者はできる限り多くの人に声を届けようと、駅前や繁華街でマイクを握り、「最後の訴え」に声をからした。県政の「継承」か「刷新」かが問われ、県政の課題も山積している。兵庫の未来を誰に託すのか。有権者の審判を待つのみとなった。(1面参照)
元大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)=自民、維新推薦=は、井戸敏三知事(75)の支援を受ける前兵庫県副知事の金沢和夫氏(65)を念頭に県政の刷新を訴えてきた。この日も神戸・元町や三宮の街頭演説で、公用車「センチュリー」の乗り換え問題や新型コロナ対策の「うちわ会食」を挙げて井戸県政を批判。「県民とのギャップが生じている。新しい発想で兵庫を担わせてほしい」と訴えた。
維新代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪府知事も応援に駆け付け、斎藤氏は「大阪と手を組み、兵庫から関西を盛り上げ、日本の活性化につなげたい」と呼び掛けた。
「新型コロナ対策などで大切な時期。知事の仕事はますます重要だ。私なら担えます。後悔させません」
一方、金沢氏は神戸・三宮や元町の街頭演説で、副知事など計15年間にわたって県政の中枢を支えた実績を強調した。演説の合間には、党方針に反発して金沢氏を支える自民県議や井戸氏らと商店街などを練り歩き、支援を呼び掛けた。
金沢氏は斎藤氏を推薦した自民の対応を批判し、「私は県民党。どうか押し上げてほしい」と呼び掛けた。世界的指揮者の佐渡裕さんも応援演説に立ち「これまでの取り組みを引き継げる金沢氏に知事になってほしい」とエールを送った。
元兵庫県議の金田峰生氏(55)=共産推薦=は、支援を受ける政治団体メンバーや共産党の地方議員らと神戸市内を遊説した。コロナ対策では、PCR検査の充実や医療機関への損失補償を手厚くすると主張。「福祉、教育を優先する。県政転換を願う1票を託してほしい」と訴えた。演説の模様はツイッターでも配信し、幅広い層への浸透を図った。
元加西市長の中川暢三氏(65)は、神戸・三宮の周辺などで街頭演説した。大手建設会社での管理職経験を踏まえて「国にノーを言えるのは、しがらみのない私だけ。総務省OBではなく、民間出身の知事を誕生させよう。政策本位で候補を選んでほしい」と力を込めた。
音楽塾経営の服部修氏(47)は、神戸・三宮などで「(新型コロナウイルス禍以前の)元の生活に戻します。コロナ騒動を終わらせ、苦しんでいる人を救いたい」と訴えた。