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幼竹を収穫するプロジェクトチームのメンバー。里山環境の整備と特産品化を目指す=洲本市内
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幼竹を収穫するプロジェクトチームのメンバー。里山環境の整備と特産品化を目指す=洲本市内
放置竹林から出来上がったメンマ。味付けも島の果物などを使ってアレンジする
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放置竹林から出来上がったメンマ。味付けも島の果物などを使ってアレンジする

 放置された竹林が全国的に広がり、生態系や景観、農業に悪影響を及ぼす中、兵庫県の淡路島などでも「竹を食べることで、少しでも拡大を抑えよう」という取り組みが始まっている。ラーメンの具としておなじみのメンマや、竹を使った菓子の商品化への動きも進む。放置竹林を“食の宝庫”に生まれ変わらせるべく、地元住民らがアイデアを絞る。(佐藤健介)

 「サクッ、サクッ…」

 20メートル以上に伸びた竹に覆われた洲本市の里山で、タケノコの収穫期を過ぎて高さ2メートル近くに育った「幼竹(ようちく)」をノコギリで刈り取る。メンマの材料にするためだ。

 作業するのは、島内の里山整備ボランティアたち。「子どもでもお年寄りでも簡単に切れる」と、メンバーの高木愛季さん(39)=同市=は満足そうに笑う。

 収穫した幼竹は、一本一本手作業で皮をむく。カットした後、特殊な処理をした「無菌の軟水」でゆでる。さらにゆで上がった幼竹と塩をミルフィーユ状に重ねておよそ1カ月間塩蔵。塩抜きし、塩やコショウ、淡路島産の鳴門オレンジなどで味付けして仕上げる。

 淡路島でも急拡大する放置竹林。問題克服のため2019年、里山整備ボランティアや食品加工会社の有志らがプロジェクトチームを結成した。メンバーらは「メンマの99%が輸入品。希少な国産メンマを淡路島から届けたい」と意気込む。「あわじ島(しま)ちく」と名付け、島の新たな特産品として売り出すべく準備中だ。

 アイデアはメンマだけにとどまらない。竹の芯にバウムクーヘンの生地を巻き付けて焼き菓子にしたり、竹筒を飯ごう代わりにしてご飯を炊いたり。高木さんは「荒れた竹林の価値を、『食べる』という観点で見直したい。自然を循環させる知恵を、未来につなぎたい」と願う。

   ■

 メンバーたちがノウハウを学んだのが、国産メンマ作りの“先駆者”、福岡県糸島市の日高栄治さん(73)だ。日高さんは地域おこしに取り組む中で、放置竹林の問題に着目。竹パウダーのぬか床で漬物を作ったり、幼竹をゆでてメンマに加工したりする方法を編み出し、味のバリエーションも増やした。17年には、竹利用の全国ネットワークを立ち上げ、レシピの標準化や生産量増加、飲食業界への販路開拓を進める。

 各地でノウハウの普及にも努め、淡路のメンバーもそのワークショップで学んだ。今年2月にも神戸市北区淡河町で講演している。

 このほか、東京の不動産サービス会社「LIFULL(ライフル)」の飲食事業部門は、竹の粒子やササの成分を配合した塩を使った菓子「バンブー・ガレット」を2月に発売。同社は「まだ光が当たっていない食材に焦点を当て、日本の森林を守る取り組みの一助になれば」としている。

■竹需要低迷、担い手不足深刻■

 管理の担い手不足や、竹製品の消費低迷などによって広がる放置竹林。その利活用は、生物多様性の維持や防災面からも急務だ。

 旺盛な成長力で高く伸びた竹が日光を遮ることで、背の低い樹木が枯れ、すみかとする鳥や昆虫も減る。農作物を荒らす野生動物のすみかとなり、獣害も報告されている。また、茎が地中の浅い場所に集まっているため、土砂崩れが起きやすくなる恐れもある。

 国産竹は食材(タケノコ)、日用品や建築材料として使われてきたが、安価な輸入品やプラスチックなどの代替品が普及し、需要が低迷。農家の高齢化や担い手減少も重なり、各地で手入れがされなくなった。

 兵庫県林業統計書によると、2017年度の県内竹林面積は3200ヘクタールで、うち淡路島は約420ヘクタール。だが淡路県民局が10年度に島内の竹林面積を調査したところ、同統計書の5倍を超える2660ヘクタールだった。県は「竹の面積は追跡が難しく、統計書データは古い台帳を基にするほかない。増えているのが実態だろう」と話す。

 近年、紙原料やバイオマス燃料など、用途が広がる。ただ、搬出ルートの整備が進まないことなどから、伐採にはコストがかかる。林野庁は「新たな市場開拓や高付加価値化が欠かせない。国産メンマなど食材の商品化も有力な選択肢」としている。

(佐藤健介)

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