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入院調整のため情報を集める保健師ら。最近、救急車で不搬送になるケースが増えたという=27日午後、神戸市役所(撮影・吉田敦史)
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入院調整のため情報を集める保健師ら。最近、救急車で不搬送になるケースが増えたという=27日午後、神戸市役所(撮影・吉田敦史)
優先患者リストの備考欄。「自宅で看取ることも視野に入れるが、できたら入院させて」という家族の悲痛な思いも記されていた=27日午後、神戸市役所(画像の一部を加工しています)
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優先患者リストの備考欄。「自宅で看取ることも視野に入れるが、できたら入院させて」という家族の悲痛な思いも記されていた=27日午後、神戸市役所(画像の一部を加工しています)

 新型コロナウイルスの感染「第4波」で病床が逼迫(ひっぱく)する中、神戸市保健所で入院調整に追われる現場に密着した。

     ◇     ◇

 新型コロナウイルスに対応する市保健所は災害対策本部のようだった。

 取材した入院調整の現場は、患者を選別し、わずかな空き病床につながなければならない。何度も病院に断られ、入院が決まれば受話器を握って頭を下げた。大切な病床を誰に使うのか。命を選ぶ判断を迫られる。過酷な日々に、業務に当たる職員たちは心をすり減らしていた。

 「今日のベッドの空き状況は」「1人?」

 午前9時。リストに沿って職員が市内の病院一つ一つに電話する。既に満床を示すバツ印も多い。

 4月27日の重症の空き予定は2病院計2床。中等症以下は8病院計13床。対して入院調整中は1901人(同26日夜時点)もいた。

 担うのは大半が女性の保健師。応援職員も多い。制服はなく、一見、普通のオフィスの風景だ。しかし、受話器越しのやりとりは命を左右する内容ばかり。緊張感は絶えない。

 同日の市内の新規感染者は213人。病床不足の現状では本来、重症病床に入れるべき患者でさえ自宅に留め置かれている。

 優先する患者の情報がここに寄せられ、大型モニターで最新状況を共有する。最優先の「AA」から「A」「B」…と患者がランク付けされ、血中酸素濃度や年齢などで検索できる。

     □

 午後0時半ごろ、市内の民間病院に、すぐにでも人工呼吸器をつけなければならない70代女性がいると情報が入った。受話器を耳に当てた保健師がどんどんメモしていく。

 平山順子・感染症対策担当課長は悩んだ末、神戸市立医療センター中央市民病院への要請を指示した。「本当に、この人でいいんですね」。重症対応病院に空いた貴重な1床を使っていいのか、という意味で係長が念を押し、調整に入った。

 約1時間後、80代男性の血中酸素濃度が危険なレベルに落ちている、と情報が入った。男性宅を訪ねた保健師から「このままだと死んでしまう」と悲痛な声が届く。でも、病床はない。

 延命措置などを求めない「蘇生措置拒否(DNR)」を患者側に確認した上で、中等症に対応する病院への入院が決まった。

 患者の病状は刻々と変わる。各区の保健師が聞き取った最新情報を集め、病院につなぐ優先順位を変えていく。

 電話が鳴り続き、伝言を記した付箋が次々と貼られた。「時間との勝負」。そう状況を語る保健師らが昼食をとれたのは病床がほぼ埋まった午後3時から4時ごろ。多くの職員は終電で帰り、係長は公用携帯を持って帰宅し、夜通しで調整窓口を務めた。

 「いまの状況は震災のような災害時と同じ」と山崎初美・保健企画担当局長。「(治療の優先順位を決める)トリアージもしなくてはならない。精神的にきつい」と本音を漏らした。

 「復興」はいつなのか。先が見えない中、最前線の現場に立つ人々は患者の命だけを見詰めていた。(霍見真一郎)

神戸市保健所ルポ(1)コロナ第4波で病床ひっ迫 入院調整の現場に密着

神戸市保健所ルポ(番外編)「毎日命の選択を行っている」局長の言葉に思わず震えた

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