兵庫県芦屋市の男性幹部(当時)が部下へのパワーハラスメントで懲戒処分された問題で、市が設けた第三者委員会は7日、2019年8月に部下らが連名で被害を訴えながら、市側が約10カ月間、事実上の放置をしていたとする調査報告書を公表した。市議会の追及や報道で表面化するまで市は調査しなかったとし、伊藤舞市長を含めて「パワハラ問題への理解が欠落していた」と指摘した。
問題を巡っては、市の内部調査委員会が20年8月に男性幹部のパワハラを認め、市は停職1カ月の懲戒処分とした。市議会が「内部調査では不十分」としたため、弁護士3人による第三者委が再調査していた。
報告書によると、19年8月、幹部に残業申請を繰り返し却下されたとして、部下たちが連名でパワハラ調査を求めて「申出書」を提出。だが、当時の人事課長は「パワハラに当たらない」として面談などにとどめ、苦情処理委員会には諮らなかったという。
また伊藤市長と佐藤徳治副市長も部下と面談して事情を聴きながら、パワハラに当たるという意識はなく、幹部に口頭で改善を求めるにとどめていたという。
10カ月後の20年6月に市議の一般質問で問題が表面化。監査を求める決議案が本会議で可決され、市は内部調査委を設けた。
報告書は、佐藤副市長をトップとした調査の在り方にも「中立性や公正性に疑問が残り、客観性を欠く」と指摘。ただ、パワハラの認定内容には「おおむね是認できる」と評価した。
幹部は部下に対し精神的な攻撃や過大な要求を繰り返し、「なめてんのか」と激怒して自身の机を蹴り飛ばしたり、「頭おかしいんちゃうか」と叱責したりしていたという。
伊藤市長は「第三者委の指摘、提言を真摯に受け止め、改めて私が先頭に立ってハラスメントのない職場づくりに全力で取り組む」とコメントを出した。(大田将之)
