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赤ちゃんのしわや産毛、胎児のようなポーズ…「ニューボーンフォト」じわり人気

2021/07/10 15:55

 生後1~2週間程度の新生児を写真に収める「ニューボーンフォト」が、じわり浸透している。兵庫県姫路市では今年4月、元保育士の井上彩加さん(33)らが出張撮影に応じる「アネラ」を設立。新生児特有の肌のしわや産毛、胎児のように丸まるポーズを撮影できるのはほんの短期間といい、「生まれた瞬間の喜びを形に残してほしい」とPRしている。(井上 駿)

 ニューボーンフォトは、米国の写真家がウェブ講座を開くなどして徐々に浸透。井上さんによると、写真共有アプリ「インスタグラム」で人気となり、日本でも一気に広がったという。検索の目印となるハッシュタグ「#ニューボーンフォト」で調べると、既に67万件もの投稿があり、愛らしい姿に思わず頬が緩む。

 アネラを立ち上げたのは、一眼レフが趣味で2児の母の井上さんと、ママ友の難波江(なばえ)智恵さん(35)。カメラ講座の受講や安全なポーズの研究、衣装や小道具の用意など1年がかりで準備を進めた。1日1件の予約に限定し、これまでに姫路や加古川、高砂市などで25件を受注。おおむね妊娠5カ月以降の安定期に入った頃からオーダーを受け付け、撮影時期やポーズの調整を始めるという。

 「生後間もない時期のほうが、赤ちゃんへの負担も少なく、眠りも深く撮影しやすい」と難波江さん。胎児のように体を丸める姿勢など1カ月を過ぎると難しくなるポーズもあるといい、井上さんは「赤ちゃんがけがをしないよう、骨格や関節の曲がり具合を研究し細心の注意を払っている」という。

 2人は「新しい家族の始まりの1枚として、ずっと家族で見返す写真になるはず」と口をそろえる。出張撮影は主に姫路から1時間圏内までのエリアを対象としており、出産前の相談が必要。料金は3万800円からで、等身大パネルなど多彩なコースがある。

 セルフ撮影用の衣装や小道具のレンタルにも対応しており、「自身で撮影する際は、無理なポージングは控えて」とアドバイスしている。申し込みはアネラの公式サイトで。インスタグラムには過去に撮影した写真も掲載している。

■撮影1時間半、寝ている間に終了 母親の産後ケアの場にも

 実際の撮影現場はどんな雰囲気だろうか。姫路市内で里帰り出産をした安原優子さん(39)の長男蓮真(れんしん)ちゃんの出張撮影があると聞き、同行した。

 安原さんは友人の紹介でニューボーンフォトを知った。妊娠9カ月ごろからアネラに連絡を取り、撮影のイメージや名前に込めた思いを伝えてきた。

 当日は生後12日。まずは授乳し、蓮真ちゃんの眠気を誘う。深く寝入ったら、いよいよ撮影だ。おくるみにくるんだり、クッションの上でポーズを取らせたり、アジサイを添えてみたり。母親の手を入れ込んだカットも撮った。最後に両目の目頭の間を測り、約1時間半の撮影が終了。写真を等身大サイズに拡大する際の目安にするという。

 「出産後は落ち着く余裕もなく、撮影時にようやく心から息子がかわいいと思えた」と安原さん。新型コロナウイルス禍の影響で希望していた両親学級は受講できず、スマートフォンの育児アプリを参考にしたり、親族に相談したりしながらお産を迎えたという。

 産後2~3週間は母体のホルモンバランスが崩れ、うつのリスクが高まる時期ともされる。アネラの2人は「撮影を通して育児の不安などにも耳を傾け、産後ケアの場にもしたい」と話していた。(井上 駿)

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