兵庫県や京都府など5道府県に出されていた新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置は11日で解除された。しかし感染再拡大をにらみ、兵庫県内では12日から、酒類提供や時短要請は神戸・阪神間や播磨地域のエリアによって緩和の幅が分かれた。重点措置が続く大阪府と距離が近く、酒類の提供時間が30分の緩和にとどまった神戸などの飲食店主は依然、苦境に立っている。
「焼け石に水。それも、スポイトで一滴ぐらいの」。神戸・三宮のスポーツバーのオーナー男性(54)は12日夜、客が1人もいない店内で肩を落とした。
県は11日まで措置区域だった15市町で、土日祝日の酒類提供を解禁。ただ、提供時間は大阪からの客の流入を防ぐため、神戸・阪神間など10市町で30分しか延ばさず、午後7時半までとした。
大小五つのモニターでプロ野球中継などを映す同店。オーナー男性は「結局、野球も試合終了まで見られない」と話す。ほぼ客が入らない状況が1年以上。応援する客の特需を見込んだ東京五輪も新型コロナの感染拡大で、時短のまま迎えることが決まった。
家賃などで毎月50万円を超える固定費がのしかかる中、2カ月半前の時短協力金はまだ届かず、今後は1日当たり1万5千円少ない同2万5千円に減額される。「正直、緊急事態宣言下としんどさは変わらない」というのが実感だ。
一方、酒類の提供時間が午後8時半までと、12日から1時間半延長された姫路市。同日、播磨最大の繁華街、魚町地区で飲んでいた同市の会社員男性(46)は「これならもう1軒、はしごもできますね」と喜んだ。
同地区のダイニングバー店主の男性(50)も「『7時までだと行きたくても間に合わない』と言っていた常連客が来やすくなる」。ただ、予約は週末までほぼないまま。地域別の時短は集客への効果は限定的とみる。
同業者の間では「再び感染が増え、すぐ元に戻るのでは」と諦めムードも漂っているといい、「感染を抑えたい思いは飲食店も同じ。一方的に悪者にしないでほしい」とこぼした。(井上太郎、山本 晃)
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