神戸市西区役所の新庁舎建設工事を巡り、「夜間もクレーンが伸びたままで、倒れてきそうで怖い」という声が神戸新聞の双方向報道「スクープラボ」に寄せられた。工事が行われていない夜に現場を訪ねると、確かにクレーンの長い首が伸びている。もし横倒しになれば、道路を挟んで建つマンションにも当たりそうに見える。
建設中の新庁舎は、神戸市営地下鉄西神中央駅の隣接地にある。6階建てで、今年12月末の完成予定。
不安の声を寄せたのは、道路を挟んで新庁舎の東側に建つマンションに住む60代男性。定年前は、大型クレーン車を扱う会社に勤めていたといい、「夜や休日、無人になる時はクレーンを伏せておくべきだ」と話す。一例に、2017年1月、福井県の高浜原発で安全対策工事に使う大型クレーンが風にあおられ転倒した事故を例に挙げる。
事故は、暴風警報が発令されていた夜間に発生。施工会社のルールでは、強風が予想される際はクレーンのアームを畳むことになっていたが、伸びたままだった。高浜原発では、事故後の安全対策として、風速にかかわらず作業終了後はアームを畳むことになった。
男性は「住民の不安を考えたら、同じように畳むべきだ」と不満を口にする。
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工事を発注した神戸市の第三セクター「OMこうべ」に取材した。説明によると、クレーンのアームは最長約80メートル。アームを畳むかは、メーカーの取扱説明書に基づくとする。このクレーンの場合、地上で瞬間風速30メートル超が予想される時は、畳んで伏せる。
説明書は、瞬間風速16~30メートルの際も畳んで伏せることとしつつ、スペースの問題などでできない場合はアームを伸ばしたまま、地上の重りに引っ掛けるとする。新庁舎の建設では、平時の夜間などもこの態勢を取っている。
さらにこれができない場合に、アームの屈折部分から先を折り下げるとする。OMこうべの担当者は「先を折り下げた方が見た目では低いが、アームが高く伸びていても、下で重りに引っ掛けた方が安全性が高いと判断している」と話す。「クレーンを伏せて起こす、を日々繰り返すこと自体に危険がある」ともする。
◇
法令はどうか。労働安全衛生法に基づく「クレーン等安全規則」は、強風への対策を講じるよう定めるが、平時については規定していない。安全管理を指導する兵庫労働局の担当者は「メーカーごとの説明書に沿っていれば転倒の危険性はかなり低い」と話す。
一方で住民が抱く不安感には理解を示す。「丁寧な対応や説明責任は業者の側にある。正しくても“言いくるめられた感”や“だまされた感”を抱かせるような説明では、理解してもらえない」
OMこうべなどの説明に、投稿した男性は「高浜原発の事故後、大手ゼネコンの建設現場では風のいかんに関わらず、予防的に完全に伏せるように指示されている」と反論。「公共工事で周辺住民の不安を取り除かないまま進めるのもいかがなものか」と話す。(鈴木雅之)
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神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。
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