入院患者を虐待したとして元看護師ら６人が有罪判決を受けた精神科病院「神出病院」（神戸市西区）が、事件の背景や再発防止策を検討する第三者委員会を立ち上げる。６月に就任した土居正典院長が神戸新聞の取材で明らかにした。

　事件後、同病院を運営する医療法人財団「兵庫錦秀会」は、職員や外部の有識者でつくる「危機管理委員会」を設置。委員は法人が選定し、調査結果を公表していないため、兵庫県弁護士会や県精神福祉家族会連合会などから「透明性がない」と批判の声が上がり、神戸市が病院に第三者委の設置を求めていた。

　第三者委の委員は、病院側から依頼された市が、弁護士や精神科病院の代表ら５人を選出し、８月中に発足するという。病院では長期にわたる虐待の常態化や、問題が明るみに出ない閉鎖性が指摘されており、事件の背景要因を探る。

　土居院長は「事件から１年以上たっているのに、被害者や家族、社会にきちんと説明できていない。適切な治療ができる病院として再出発させたい」と話した。

　事件は昨年３月に発覚。元看護師らが、入院患者にホースで水を掛けたり、患者同士で無理やりキスをさせたりし、準強制わいせつや暴行などの罪で有罪判決を受けた。（小谷千穂）