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草木の刈り込みや墓石の拭き取りなど、希望に応じて行う代行業者=いずれも神戸市東灘区住吉台
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草木の刈り込みや墓石の拭き取りなど、希望に応じて行う代行業者=いずれも神戸市東灘区住吉台
掃除前の墓の写真
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掃除前の墓の写真
掃除後の墓の写真
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掃除後の墓の写真

 お墓参りに行けない人に代わって、墓の掃除やお参りなどを行う代行サービスを利用する人が増えている。足腰が不自由な高齢者や新型コロナウイルス禍で帰省できない人らのニーズが高まり、家事代行サービス業者や生花店、タクシー会社なども新たに参入。墓地で利用者とビデオ通話でつなぐ「リモート墓参り」を勧める業者も登場している。(貝原加奈)

 住吉霊園(神戸市東灘区)や神戸平和霊園(同市垂水区)で生花店を運営する有限会社「タスク」(同市中央区)は、大型墓園を中心に墓参り代行サービスを請け負っている。同サービスは2014年から始め、田原義英代表取締役(58)は「コロナ禍の昨夏は一昨年の夏に比べて1・5倍の利用があった」と話す。今夏はさらに増えて1・7倍(19年夏比)といい、年間の利用は約400件に上る。

 基本コースは、雑草の除去や墓の汚れ落とし、仏花や線香のお供えを行い、料金は8700円からある。墓前に手を合わせて複数人で丁寧に進め、作業前後の写真や動画を利用者に報告する。昨年から利用者とお墓をリモートでつなぐサービスも始めた。

 「コロナ禍で墓参り帰省ができない」「車いすのため郊外にある霊園まで行けない」など、利用の理由はさまざまだ。墓じまい前に掃除を頼む人や、海外赴任の間の定期利用を申し込む人もいるという。

 「コロナ禍で帰れず、昨年春に初めて利用した」と話すのは東京都の会社役員戸梶亜弥さん(57)。両親が暮らした同市灘区の実家はもうないが、墓は東灘区にある。毎年数回、墓へ足を運んでいたという。

 墓を建てて十数年になり、同社に玉砂利敷きなどのメンテナンスも依頼。戸梶さんは「両親が選んだ大事な場所。自分自身のルーツを確認する場所でもある。きれいにしておきたい」と、送られてきた作業後の写真に安心する。

 タスクの田原さんは「コロナをきっかけに、墓参りに行きたくても行けない人のニーズが顕著になった。代行しても、故人をしのぶ気持ちは同じ」とする。

 同様のサービスに乗り出したタクシー会社もある。第一交通産業(北九州市)は「お墓参りサポートタクシー(はかさぽ)」を昨年7月に全国で開始。これまで約300件の依頼を受けた。墓参り代行に加え、タクシーで利用者の墓参りに同行するサービスも行う。

 当初は、コロナ禍で帰省ができない人たち向けに始めたが、お墓の近くに住む高齢者も利用者の約2割に上るという。今後、海外展開も視野にサービスを拡充する予定だ。

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