国内最大の食品公害とされる「カネミ油症事件」発覚から半世紀を経て、被害者の子や孫を対象にした初めての次世代調査が始まった。有害物質が混入した油を食べていない世代でも、認定患者同様の症状を確認。差別の恐れなどから、子らに油症被害を伝えていない認定患者は少なくない。油症被害者関西連絡会共同代表の渡部道子さん(65)=兵庫県姫路市=も葛藤の末、「次世代の被害を明らかにしないといけない」と一人息子に被害を打ち明けた。
渡部さんは父親の転勤先の長崎県・五島列島でポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入した米ぬか油を食べ、小学6年で発症。膿(うみ)を噴くほどのおできが尻や背中にでき、朝礼の間も立っていられないほどの虚弱体質になった。中学生で卵巣がんを患い、20歳前に子宮発育不全と指摘された。救急車で搬送されたことは数え切れず、体調不良が続いた。
長男の潤一さん(36)を授かったのは29歳の時。予定日より2カ月早く、1460グラムの低体重で生まれた。小学校入学までしばしば発熱とけいれんによる入退院を繰り返し、多い時は1年の半分を病院で過ごした。アトピー症状もひどかったという。
「この子は大人になる前に死んでしまうかもと思っていた。熱で苦しむ息子に『あの世に1人では行かさんよ』とすがって泣いたことも1度じゃない」と道子さん。自身の油症被害から目を背け、「息子と油症が結びつかず、自分の虚弱な体を責めた」と振り返る。
関西在住の被害者の世話役をしていた父親が亡くなり、2011年関西連絡会を設立。ほかの地域の被害者と交流するうちに、被害者には婦人科系の病気が多いことや、子ども世代への健康被害を知った。
ほかの被害者が子どもへの影響を語る中、道子さんは子がいることすら今年に入るまで明かせなかった。「油症の影響が息子に出たことがやるせなく、語りたくなかった」と打ち明ける。潤一さんに油症事件を話すきっかけになったのは、カネミ油症被害者支援センター(東京都)による事前調査。思い切って打ち明けると、潤一さんは「カネミ油症」の言葉すら知らず、「できることは協力する」と受け入れてくれた。
道子さんは「次世代への影響を解明するのには、当事者の協力が必要。油を食べた私たちの世代が死んで終わりにさせてはいけない」と訴えた。(小尾絵生)
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