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アフガニスタンの女性や子どもへの支援を長年続けてきた西垣敬子さん=2007年4月、同国(西垣さん提供)
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アフガニスタンの女性や子どもへの支援を長年続けてきた西垣敬子さん=2007年4月、同国(西垣さん提供)
日本で寄付を募り、ジャララバード・ナンガルハル大学の教育学部に建てられた女子寮(西垣さん提供)
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日本で寄付を募り、ジャララバード・ナンガルハル大学の教育学部に建てられた女子寮(西垣さん提供)

 イスラム主義組織タリバンが暫定政権を始動させたアフガニスタンの動向を、兵庫県からひときわ強い思いで見守る女性がいる。宝塚市の非政府組織(NGO)「宝塚・アフガニスタン友好協会」代表の西垣敬子さん(86)。1994年から2017年まで40回以上渡航し、女性の支援に力を入れてきた。苦境に立つ同国に対し「多くの人が目を向けることが大切」と訴える。

 「まさか人生で2回もタリバン時代を経験するとは思わなかった」。96年のタリバン旧政権の発足時に同国を訪れていた西垣さんは驚いた様子で語る。「神学生」の複数形を意味するタリバン。元は「真面目で礼儀正しい若者」の兵士たちとの印象で、西垣さんにも丁寧に接していたという。

 しかし、バーミヤンの重要な仏教美術を破壊したり、女性を迫害したりと、徐々に過激化。西垣さんはその間、女性が通うためひそかに開かれた「隠れ学校」や難民キャンプを支援した。タリバン政権が崩壊した後は、寄付金で大学に女子トイレや女子寮も建設した。

 今回、映像で伝えられるタリバン兵を見て西垣さんは「本当にタリバン?」と目を疑った。大統領府に現れた兵士らは、壁にかかる宗教的な絵画をスマートフォンで撮影していた。「昔だったら銃で破壊していた」。西垣さんは、幹部が記者会見で述べた「20年前とは違う」との言葉を「国際社会を意識している。信じたい」と受け止める。

 西垣さんは、タリバンが首都カブールを制圧した8月15日以降も、現地の知人と会員制交流サイト(SNS)で連絡を続けてきた。米国に留学していた東部ジャララバードに住む友人の元英語教師の男性は「米国へ留学経験がある2人が既に殺された。自分は3人目になるかもしれない」と話し、日本への避難を望んだという。

 また西部ヘラートの美術専門の大学教授は、全ての作品データをSNS上から消したという。タリバンの思想は人間や動物を描く美術品を認めず、西垣さんは「特に芸術家たちが怖がっている」と言う。

 西垣さんは「悲痛な声が届くのに何もできず、無力感にさいなまれる」としながらも、多民族国家の同国が「今ようやく他の国の力を借りず、自分たちなりの国をつくろうとしている」と期待する。

 近年は、女子学生が描いた細密画の塗り絵を販売し、日本で初めてヘラート派細密画展を開催するなどして支援を続ける西垣さん。「どんな国づくりをするか見届ける。女性たちが恐怖の中で生きることがないように」と語気を強める。

 西垣さんは11日午後1時半~3時半、アフガンについて考えるオンライン集会を開く。同国で支援活動をする桐生佳子さんや中道貞子さんも話す。参加無料。参加希望者はウェブサイト(https://forms.gle/mn2tErAaVs5U7uBf8)で10日までに申し込む。

(小谷千穂)

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