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 朝のテレビ番組の定番コーナー、星座占い。つい気になり、身支度の手を止めて自分の運勢を確認してしまう-。そんな人も多いだろうが、日々のランキングに何らかの傾向はあるのだろうか。民放3番組の占い結果を3カ月にわたって記録し、統計データとして分析してみた。(小川 晶)

 民放テレビ局で放送されている平日朝の情報番組のうち、十二星座占いがあるA、B、Cの3番組を対象とした。土曜日も当日の占いがあるAについてはその結果も含め、6月1日~8月31日、3番組分の1位から12位までのランキングを、放送や番組サイトでひたすら確認し続けた。

 1カ月単位で平均順位が最も高かった星座は、6月の番組Cのおうし座で、5・0位。最低は6月の番組Bで、7・6のみずがめ座だった。3番組の3カ月分を集計すると、全ての星座が、平均値6・5のプラスマイナス0・3以内に収束しており、長期的、複合的にみれば平準化していくようだ。

 だが、そもそも論として、同じ十二星座占いなのに、なぜ番組によって結果が異なるのか。過去に占いの情報をテレビ番組に提供していたことがあるという「ルネ・ヴァン・ダール研究所」(東京)は「占い師によって判断基準が異なるため」と説明する。

 担当者によると、天球を十二星座に分け、実際の星の位置や動きを基に運勢を導くという原則はあるという。ただ、月の動きや満ち欠け、惑星同士の角度など、さまざまな要素の取捨選択は占い師に委ねられ、結果として順位付けに違いが出てくるそうだ。

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 3カ月分のデータを分析していくと、違和感を抱くような傾向も見えてきた。

 例えば、連続性だ。月曜日、ある番組のおうし座が5位だったとして、翌日の火曜日も5位になる確率は単純計算で12分の1となる。3番組を合わせれば、2日続けて同順位になる星座が週内にいくつかあってもよさそうなものだが、同一週内で順位が続くのは3カ月間で7回しかなかった。番組Aのてんびん座は一回も11位がないなど、特異な例も見受けられた。

 そこで、統計界最高の栄誉とされる「大内賞」を昨年度に受けた兵庫県立大特任教授の芦谷恒憲さんに結果を見てもらった。数値のばらつきや平均を調べ、分布を確認するという統計学の常道で分析すると、多少の偏りはあるものの、他のデータとの差が極端に大きい「外れ値」は明確には認められなかったという。

 芦谷さんが解説する。「統計学的にみれば、偏りを小さくする条件設定をしながら順位を決めているようにみえる。ただ、何らかの作為をうかがわせる外れ値もなく、3カ月間で平均値に収束する傾向からみても、基本的にはランダムなデータだと考えられる」

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■金メダリスト、決勝の日運勢は… おとめ座の川井友、3番組とも最悪

 民放3番組の星座占い分析は、6~8月の調査期間が東京五輪の会期と重なっていた。そこで気になったのが、金メダリストの運勢だ。実力はもちろん、運も兼ね備えていたのか、決勝当日の占いランキングを調べてみたところ…。

 個人競技の金メダリストのうち、番組が放送されている日に獲得した延べ19人を対象とした。月-金曜は、A、B、C3番組の順位の平均値を出し、土曜は、唯一放送がある番組Aの結果で判断した。

 特徴的だったのが、女子レスリング62キロ級の川井友香子選手。頂点に立った8月4日は、3カ月間で唯一、3番組の12位が同じ星座でそろった日で、それが川井選手のおとめ座だった。最悪の運勢を、実力ではねのけて金メダルを獲得したことになる。

 これに対し、男子柔道73キロ級に出場したみずがめ座の大野将平選手は、世界を制した7月26日、3番組ともみずがめ座が1位。リオデジャネイロ五輪に続く連覇は、幸運の女神にも見守られていたようだ。

 神戸市出身の柔道、阿部一二三(ひふみ)選手、詩(うた)選手の兄妹は、日曜日の試合だったため残念ながら対象にならなかった。

 全体的にはばらつきが目立ち、2個の金メダルを得た男子体操、橋本大輝選手のそれぞれの日の占い順位は、8.0と4.3。19人の順位を集計すると、平均値6.5をわずかに上回る6.2となり、「金メダリストは運もいい」とは断定しがたい結果が出た。(小川 晶)

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