つるつる、冷たい、気持ちいい…。えっ、一体これは? 触ってアートを体感する特別展「ユニバーサル・ミュージアム-さわる!“触”の大博覧会」が、大阪府吹田市の国立民族学博物館で開かれている。コロナ禍の今、あえて「触ること」の可能性を探る試みで、約50の団体・個人がさまざまな触感の約280点を出品。視覚偏重の社会のあり方を問い直す。(小林伸哉)
「ユニバーサル・ミュージアム」とは「誰もが楽しめる博物館」を意味する。目が見えなくても観賞できる展示だけでなく、視覚以外の感覚も呼び覚ますよう工夫する。
13歳で完全に失明した同博物館准教授の広瀬浩二郎さん(53)=文化人類学=が提唱してきた試み。本展はコロナ禍で昨年秋から約1年延期されたが、昨年10月に「それでも僕たちは『濃厚接触』を続ける!」(小さ子社)を出版して「触文化」の意義を訴えてきた。
広瀬さんは「触ると、物やそれを作った人とつながる。『見る』という距離がある関係ではなく、一つになる。一人一人の来館者が主役になる」と本展の魅力を語る。
「試触コーナー」には、国宝・興福寺仏頭のレプリカがある。どう触るのか戸惑っていると、そばにあるモニターに映し出された動画から広瀬さんの優しい声が響いてきて「無視覚流鑑賞」の心得を教えてくれる。
「顔を洗う、あるいはお化粧をしているようなイメージで…」。手のひらで全体像を把握する。彫刻の細工は指先で、いろんな方向から触る。火事の損傷跡もなでると「愛おしさみたいなものが湧いてくるのではないか」と広瀬さん。
彫刻や風景、歴史などがテーマの展示に向かうと、会場は暗くなる。触覚に集中してもらうためだ。作家らは感情や時間、エネルギー、癒やしといった「見えないもの」を形にしようと挑んだ。音で表現する作品もある。
松井利夫さんの陶胎漆器「つやつやのはらわた」は、漆黒の穴に手を入れて観賞する。京都市立芸術大の学生らは触れる名画の二次創作物を出品。触れるフェルメール「真珠の耳飾りの少女」は、少女のほっぺたがふっくらと柔らかい。
美術作家前川紘士さん(41)=京都市=の「かたちの合成from両手」は、陶製の造形物2個を白い紙袋に包んだ作品が14組並ぶ。鑑賞者は両側から手を入れて、中を見ずに突起や曲面、穴などを確かめる。「二つの形を触った感覚から頭の中で一つに合成する」のが楽しみ方だ。「言葉で『これは漁師の胸板や』と表現した鑑賞者もいる」と前川さん。認知のずれや気付きが対話につながることを期待しているという。
「だんだんお風呂に入ってるみたいに気持ちよくなって、古墳のイメージがわいてきます~」。内覧会でまるで浴槽のような自作のオブジェに寝転がって説明したのは、大阪芸術大学特任講師の美術家、岡本高幸さん(43)だ。作品名は「とろける身体-古墳をひっくり返す」。実在の前方後円墳をかたどり、くぼみの深さなどは実際のデータを基に合成樹脂などで制作。ぬるま湯程度に温め、背中からじんわり、巨大遺跡を体感できる。
日ごろ、見るだけで分かった気になっていないか-。全身の感覚をフル活用してこそ、見えない世界の豊かさに心身が開かれる。これこそ、広瀬さんが掲げる「『未開の知』を開拓する旅」なのだろう。
11月30日まで。水曜と11月4日は休館(同月3日は開館)。一般880円ほか。手指消毒、換気強化などの感染防止対策を徹底している。国立民族学博物館TEL06・6876・2151
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