兵庫県を含む19都道府県に発令されている新型コロナウイルス緊急事態宣言が30日で全面解除される。兵庫県の第4、5波はいずれも宣言解除後、約2週間で増加に転じ、感染者のピークは波ごとに倍増している。県内の2回目ワクチン接種は52・9%(28日時点、医療従事者を除く)に達しているものの、感染力が強い変異株なども懸念され、専門家らはリバウンドの第6波に警戒感を強める。
兵庫の第3波に伴う緊急事態宣言は2月28日で解除。10日程度は1週間平均の感染者が30人前後だった。解除から2週間後に1・8倍になり、増加が続いて第4波に入った。宣言解除から2カ月後の4月28日時点で1週間平均は516・7人に達し、解除時の22・3倍まで膨れ上がった。
第4波は、57日間の緊急事態を経て6月20日までで解除。1週間平均の感染者は29・9人に減り、その後も減少傾向が続いたが、増加に転じた。過去のペースを大幅に上回り、約2カ月後は解除時の32・8倍(978・9人)に増えた。
コロナ向け病床は2月末時点の839床から、9月上旬までに約1・6倍の1357床へ拡大。病床使用率は第3波で約8割、第4波で8割台半ば、第5波は7割台半ばで踏みとどまった。
第5波までの傾向について、神戸大大学院医学研究科の岩田健太郎教授(感染治療学)は「日本では波が来るたびに問題が大きくなってきた」と指摘。県内でも病床は順次拡大されてきたが、「病床は、医療従事者を含めて足し算で増えるのに対し、感染者はかけ算で増えるので、スピードが全然違う。感染者が増えてもいいという発想は捨て、増える前に減らす対策をとらないと」とする。
2回のワクチン接種を済ませた人は、全国民の半数を超えており、過去の感染拡大期と状況は異なる。だが、海外では接種完了後に陽性となる「ブレークスルー感染」も広がり、予断を許さない。岩田教授は「コロナの問題はしばらく続くと思うが、ウイルスとの競争。われわれの対応次第で未来はいくらでも変わる」と第6波を視野に入れた対策を求めた。(井川朋宏)
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