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映画の一場面「菊池さんの引っ越し」(c)Shinya Aoyama
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映画の一場面「菊池さんの引っ越し」(c)Shinya Aoyama
東京五輪が終わった「今だからこそ、見て欲しい」。と話す青山真也監督=大阪市内
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東京五輪が終わった「今だからこそ、見て欲しい」。と話す青山真也監督=大阪市内

 賛否両論あった「東京2020オリンピック」。その祭典の影でひっそりと取り壊された公営住宅がある。「都営霞ヶ丘アパート」。国立競技場に隣接し、オリンピックに伴う再開発だった。ついのすみかを追われ、翻弄される住人たちを追ったドキュメンタリー映画が15日から兵庫県内で公開される。青山真也監督に話を聞いた。

 「ここ(都営霞ヶ丘アパート)は1964年のオリンピック開発で建ち、独居の高齢者の多い公営住宅でした。団地内には畑などもあり、古い田舎が都会のど真ん中にあるような異様な感じだった」と青山監督。分け入ると、何十年も助け合い暮らしてきたコミュニティーが見えてきた。足の悪い住人のために部屋まで食糧を届ける小さな商店や、気心の知れた近所づきあい…。「記録したいと、ほぼ1人でカメラを持って住民を訪ね撮影をはじめた」という。

 老人同士で支え合う日常が、ある日突然、A4の紙1枚で立ち退き期限を告げられ、閉ざされていく衝撃。「あきらかにおかしい話なんだけれども、高齢者や障害者など、声すらあげられない。離れたくないと思いながら、住み慣れた場所を奪われるのは、大変な負荷がかかっていた」。

 カメラは引っ越し費用の心配をする食卓、写真の整理をする高齢者らを切り取る。ナレーションも解説も入れなかったのは、見る人の感覚を制限したくなかったから。「排除の歴史に『明日はわが身』と共感してもらえれば」と話す。淡々と、生活のひだを重ねる映像が胸に迫る。「オリンピック反対とは言ってないですよ。大きなものにのみこまれる、人間模様や感情を描きたかった」

 ドキュメンタリー映画「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」は15~21日、シネ・ピピア(宝塚市)で公開。(鈴木久仁子)

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