12月から始まる3回目接種用の新型コロナウイルスワクチンが、兵庫県内にも届き始めた15日。厚生労働省のワクチン分科会が、新たな実施方針を了承した。これまで2回目接種から「おおむね8カ月以上」としていた間隔が、自治体の判断で「6カ月以上」でも打てるようになる。接種開始が間近に迫り、自治体からは「なぜ今ごろ言い出すのか」と困惑の声。一方で、専門家からは一定の評価も聞かれる。
神戸市は3回目接種券について、今年5月1日以降に2回目を終えた人には、接種後8カ月経過した日をめどに順次発送する予定をすでに発表している。
「今の時点で何ができるのか、何をしないといけないのか検討し直さなければならない」と戸惑う担当者。「早く打ちたいという市民も出てくる。『地域の感染状況などを踏まえて判断』というが、自治体に丸投げではなく基準を示してほしい」と国に求める。
姫路市も3回目接種の開始時期の見通しをすでに発表。2回目接種から7カ月後をめどに接種券を送り、市民には約1カ月後の予約を入れてもらう計画だった。担当者は「『6カ月以上』とされたことで、接種券が届いたらすぐに予約を入れてもらうことができるようにはなる。ピークの山をならすことができるので良い面もある」とするが、「それができるワクチンが国から供給されるのかが心配。早く見通しを示してほしい」と話す。
兵庫県の斎藤元彦知事は15日の会見で、2回目接種から6カ月以上たてば自治体の判断で接種できることについて、「国の方針を踏まえながら決めていきたい」とした。
一方、神戸大大学院の森康子・感染症センター長は「接種から半年程度で効果は低下してくるとされるので、2回目を早く打った高齢者らが、前倒しで接種できるようになるのは良いこと」と前向きに受け止める。さらに「次の波を抑えるためにも、発症や重症化を予防する効果を上げておくことは重要だ」と意義を強調した。(高田康夫、金 旻革、井川朋宏)
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