兵庫県は17日、姫路市内の養鶏場で、高病原性の疑いがある鳥インフルエンザの感染を確認し、同日午後5時までに約2万羽を殺処分したと発表した。同養鶏場では約15万5千羽が飼育されており、20日までの殺処分完了を目指す。今季の鳥インフル発生は秋田、鹿児島に続いて3県目。
鳥インフルが県内の養鶏場で確認されたのは、昨年11月の淡路市の施設に続き2例目。県は17日、自衛隊に災害派遣を要請し、午前9時から県職員と自衛隊員で殺処分を始めた。殺処分した鶏は焼却する。
県によると、16日午後4時、姫路市内の採卵鶏農場から「通常より多くの鶏が死んでいる」と姫路家畜保健衛生所に通報があり、同所の簡易検査で陽性を確認。17日午前7時、PCR検査で、秋田、鹿児島や昨年の淡路と同じ「H5亜型」の陽性が確定した。
県は感染が確認された養鶏場から半径3キロ以内の飼育施設1戸(約20羽)に鶏や卵の移動を禁じた。さらに、半径10キロ区域に5カ所の消毒ポイントを設置し、半径3~10キロの養鶏場など25戸(計78万7千羽)に、出荷先への経路の届け出や消毒ポイントの通過を求めた。
県はまた、環境省から野鳥監視重点区域に指定された当該養鶏場の半径10キロ以内で4週間にわたり野鳥の監視を強化。ため池や河川の河口付近で大量死がないかどうかを目視で調べる。
斎藤元彦知事は同日、金子原二郎農林水産相と都内で会談し、国・県が連携して対応に当たることを確認した。同日夕、県庁で記者団の取材に応じ「初動をしっかりし、抑え込むことが大事だ」と語った。
県内には、100羽以上飼育している採卵・肉用の養鶏場184戸(計約876万羽)など、鳥類の飼育施設が約400戸ある。
県は感染が確認された養鶏場の名称や詳細な所在地について、人が集まることでまん延を引き起こす恐れがあるなどとして公表していない。(大島光貴)