兵庫県姫路市内の養鶏場で鳥インフルエンザが確認された17日、現場では兵庫県職員や自衛隊員らによる鶏の殺処分や消毒作業が始まった。淡路市で鳥インフルが確認された昨年11月からわずか1年足らずでの県内確認に、普段から防疫対策に努めてきた周辺の養鶏業者にも動揺が広がっている。
県によると、感染が確認された養鶏場は窓が密閉された鶏舎。家畜伝染病予防法に基づき、飼育する15万5千羽の殺処分が決まり、防護服に身を包んだ県職員らが車で現場に入った。
鶏を二酸化炭素で窒息させ、黙々と容器に入れていく過酷な作業。110人のチームが6時間交代で夜通し続ける。人員確保のため、近畿農政局の職員の派遣も決まったという。
「野鳥からの感染は防ぎきれない。誰も悪くない」。姫路市や近隣市町の同業者からは半ば諦めの声も漏れた。普段から出入りする車の消毒を徹底しているという業者は「これ以上、どう対策したらいいのか。やれることをやるだけです」と淡々と語った。
直接的な制限がない10キロ圏外の養鶏場も、感染拡大や風評被害を恐れる。
「流行しやすい時期とはいえ、ここまで近くで起きるとは」。姫路市内の業者は、感染確認の一報に言葉を失った。消毒も小動物の侵入対策も打てる手は打ってきた。「危機が去るまでは耐え続けるしかない」と、自身に言い聞かせるように話した。
斎藤元彦知事は17日夕、「まん延防止や風評被害対策、財政措置での支援を国へお願いし、力強い約束をいただいた」と述べた。
近畿地方では今季初の養鶏場での感染確認となる。18日は関西広域連合の会合で各府県知事と状況を共有し、午後には姫路市の現場を視察するという。(上杉順子、森下陽介、大島光貴)