兵庫県小野市は９日、新型コロナウイルスの経済対策で、１８歳以下の子どもに１０万円相当を給付する政府方針について、１０万円全額を現金給付すると発表した。政府が設けた所得制限は独自に撤廃し、市内の計８８００人全員を対象とする。

　政府は５万円の現金給付と、５万円分のクーポン支給を基本とする。小野市はクーポン方式の場合、準備期間を要し、迅速な給付が困難と判断。クーポン５万円分の現金給付を決めた。

　また、政府は給付対象に一定の所得制限を設けているが、同市は「分け隔てなく全員に給付することが重要」とし制限を撤廃する。

　給付は５万円ずつ２回に分けて実施。１回目分として、計４億５千万円を盛り込んだ予算案を市議会に提出しており、可決されれば年内に給付する方針。２回目分は来年３月ごろの給付を予定する。所得制限を超える世帯の子ども（約３００人）分は、約３千万円の予算を市が独自に補う。

　岸田文雄首相は全額現金給付を一定程度容認する姿勢を示しているが、近隣の自治体などは静観。三木や加東市は「国の動向を見て判断したい」としている。

　神戸市の久元喜造市長は９日、全額現金での給付が望ましいとの考えを示し、国に対し、早急に明確な方針を打ち出すよう求めた。ただ、国が認めなければ「クーポンなどを支給することにならざるを得ない」と述べた。（杉山雅崇、三島大一郎）