神戸市は10日、新型コロナウイルスの感染第2~5波に関して、対策の検証結果をまとめた報告書を公表した。中でも変異株の出現による第4波について、感染拡大で保健所業務が逼迫した状況を「自宅待機者が何人亡くなってもおかしくなかった」と捉え、入院調整の混乱や死者の公表遅れを課題と強調した。
小原一徳副市長がリーダーを務め、各局の副局長ら16人が参加する検証チームが、2020年6月~21年9月の対応を整理。昨年7月の第1次検証(20年1~6月)に続く報告で、医療提供体制と感染防止策▽報道対応と広報▽学校園-など、分野ごとに検証した。
最も課題が浮き彫りとなったのは、変異株の影響で爆発的な感染拡大が起きた第4波への対応。重症者も多く、患者の入院調整で保健所が大きく混乱した。
「患者がいつ入院できるかの正確なめども立てられない中、大きな感染の波にのみ込まれた状態だった」と説明。業務に追われて死者の公表が大幅に遅れたことについては、遺族の了解を得ずに内容を限定して発表する方法に改めたことも記した。
一方、積極的にワクチン接種に取り組んだことで、第5波では入院が必要な人が激減。早期に独自のワクチン大規模接種会場を設置したほか、インターネット予約を手伝う「お助け隊」を導入するなど民間事業者や学生も加わった動きを「オール神戸で危機を乗り越えた」とし、「保健所業務を順調に進められたのは、ワクチン接種促進の成果だった」と振り返った。
さらに、今後力を入れる取り組みとして、新たな変異株の監視を強化、入院病床の確保、後遺症対応-などを列挙。ワクチンの3回目接種を迅速に進める体制を整え、保健師の負担軽減のため業務のデジタル化も進めることも盛り込んだ。
小原副市長は「感染が今後、どういう形で拡大するか分からない。感染者、重症者の増加に備え、万全の体制を整えたい」とした。
報告書は240ページ。市のホームページで閲覧、意見の入力ができる。(三島大一郎)
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