運輸安全委員会は17日、2020年11月に神戸市灘区の阪急神戸線六甲-御影間の高羽踏切で特急電車が無人の軽ワゴン車と衝突し、脱線した事故の調査報告書を公表した。電車の運転士は、車の進入を認めてすぐにブレーキを操作しており、衝突を回避できなかった可能性が高いとした。
報告書によると、車は踏切から北に約60メートル離れた坂道に停車。運転手は荷物を配達するために車を離れたが、サイドブレーキの引きが甘かったとみられる。無人の車は後退し、衝突の約5秒前に踏切に侵入。電車は時速約85キロで走っており、運転士は直ちに非常ブレーキをかけたが、車と衝突した。
衝突した衝撃に加え、車の部品が1両目の左車輪とレールの間に挟まったため、列車が脱線したと考えられる。車の運転手は仕事に就いてから日が浅く、マニュアル車の操作に慣れていなかったといい、ギアを入れる▽輪止めを活用する-など駐車の操作が適切でなかったとした。
事故では、列車の乗客1人が軽傷となったほか、運休などで約10万7千人に影響した。(今福寛子)