新型コロナウイルス患者向けの病床使用率が兵庫や福岡など9府県で70%以上になったことが19日、分かった。運用の限界は80%程度とされ、症状が急変した自宅療養者らへの対応が遅れかねない「警戒水域」に入っている。全国の新規感染者数はピークを越えたとみられるが、入院患者は減少に転じるのに時間がかかる。高齢者の感染割合が増え、重症者を中心とした医療体制の拡充が急務だ。
政府対策分科会の専門家らは昨年11月、流行「第5波」を踏まえ、コロナ病床の使用率を80%程度が限界と結論付けた。小児や妊産婦など特定の患者や、症状が悪化した自宅療養者らを受け入れる病床を空けておく必要があり、入退院の手続きにも時間がかかるためだ。
内閣官房の集計によると、17日時点の病床使用率は福岡の84%が最も高く、大阪83%と続いた。神奈川、山梨、愛知、滋賀、京都、兵庫、奈良の7府県が70%台だった。ほかにも60%以上となっている地域があり、各地で予断を許さない状況だ。
各都道府県は第6波に備えて昨年11月末にまとめた医療提供体制計画で、コロナ患者向けに計約4万6千床を確保した。ほとんどはピーク時の病床使用率を80%台と想定。17日時点でそれを上回った自治体はないが、福岡と大阪はいずれも想定の85%が目前となっている。
このまま病床逼迫(ひっぱく)が進めば、新たに入院が必要となったコロナ患者を受け入れる病床が不足する可能性がある。病床を増やす場合は、一般病床を削減することになるため、コロナ患者以外にも影響が出る。
厚生労働省が公表している新規陽性者の年代別割合を見ると、60代以上は1月に全体の10・7%だったが、2月には14・9%に上昇した。
政府は症状が落ち着いている患者の転院先確保や、病床のほかに高齢者施設での療養体制拡充などを支援する方針を打ち出している。ただ健康観察や医療人材確保など課題は多い。
◇ ◇
兵庫県の病床使用率は17日時点は76%だったが、18日時点は72%。同日時点の重症病床使用率は31%で7割は空いているが、新規感染者は依然多く、県は20日までだったまん延防止等重点措置の延長に合わせ入院病床を拡大する。
18日時点で県内の確保病床は1499床あり、入院は1072人。そのうち重症対応は142床で、44人が入院中となっている。
病床使用率は2日以降70%超が続き、14日に77%と8割に迫ったが、その後は減少傾向。重症病床も15日は37%だったが、減少に転じた。ただ高齢者の感染が増えている状況もあり、再び上がる可能性はある。
一方、18日の自宅療養者は4万7718人、宿泊療養者は492人と病院外で療養している人も多い。(霍見真一郎)
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