• 印刷
タロットカード専門の占い師として働く女性。新型コロナウイルス禍の影響について語る=神戸市内
拡大
タロットカード専門の占い師として働く女性。新型コロナウイルス禍の影響について語る=神戸市内

 新型コロナウイルス禍から2年。「よく当たる」とうわさの、神戸の占い師さんをのぞいてみた。感染の波に左右はされるが、客足は全般的に盛況らしい。なぜ?(小谷千穂)

 いらっしゃい。営業中だけど、いいのよ。この通り、感染がすごいときは、お客さん来ないから。今はネコの刺しゅうをしてたとこ。

 空いた時間は、普段できひんことをやる。弥勒菩薩の絵を描くときもある。カリカリせんでいいの。暇は「ラッキー」と思えばね。みんな、それが大事やと思うわ。

 オミクロン、すごいね。一気に増えた。1月下旬から、ここもだいぶ減ったわ。会話メインの商売やから、波が来たら予約は減る。リズムになってるから、また戻るやろって思ってる。

         ◆

 コロナが来てすぐは売り上げ半分に減ったけど、それも1カ月ぐらい。最近はむしろ増えてるのよ。

 テレビで、占い番組やってるじゃない。その影響。あとは口コミ。生活が一変して、占いに頼る人も多いのかな。

 第1波の頃、おかしかったのがね。お客さん、8割がた看護師になったの。普段から感染症に接してるから、私らより怖くないみたい。

 でも、くたびれてたわ。

 コロナ専門病棟に勤める人は「もうしんどい」「やめた方がいいでしょうか」って。

 なんて答えたかって? タロットで出たとおりに言う。「もうちょっと頑張り」とかね。

        ◆

 手相が、やっぱり困るよね。差し棒使って、できるだけ触らないように気を使ってる。そう、こうやって…。

 あら、あなたきれいな手相ね。真面目でまっすぐで…。でも恋愛線が薄いわね。

 顔赤くなってるじゃない。ごめんね、職業柄、つい占ってしまうの。

 コロナが来るの想像できたかって?

 いずれ人間に災難が来ると思ってたけど、時期までは分からなかったわ。

        ◆

 神戸は多いよ、占い。昔は「占い銀座」って呼ばれてたしね。本場って感じ。中華街もあるからかな。

 この場所に店つくったのも、その理由。それまで大きい店で占い師してて、10年前に独立したの。

 中学生の頃、本見てタロットやってみたら、当たりすぎて、怖くてカード捨てたのよ。子育てに一区切りついて、20年前、趣味でまたやり始めたら、「当たる」って広まった。

 占いって、話術やからね。あとは、幼い頃から人と違うというか、人の周りに白い霧のようなものが見えてて、「みんなには見えてないんや…」って。

        ◆

 相談内容は、恋愛、結婚、就職。経営、健康、遺産相続…。人生の大事な選択に迷った時、来てくれるね。社会の裏側も、よく見えるよ。

 コロナの流行で、重い相談が増えた。経営者も来はるけど、「そんな業界も影響受けてんの」って驚くね。

 不動産業の人は、副業でホテルの寝具交換やってて、その打撃が本業にも響いたとか。鉄材会社の社長は鉄道のレールを扱ってて、JRの売り上げが下がったから、毎年来てた受注が来ないって言ってた。CA(客室乗務員)さんやと「私はクビになりませんか」って言いはる。

 介護職でコロナに感染した人は「時間たっても、せき止まらへん。治るやろか」って。何年かかるかは、伝えたよ。寿命以外は答えるようにしてる。

        ◆

 本当にしんどい人もいれば、得してる人もいるね。店たたむ人もいれば、新しい店をつくる人もいる。

 「もうかってるんやね」って言ったら「国から出るからな」って。不公平感、あるよね。

 占いはなくならんと思う。人の悩みがある限り、どの時代でも。お金がないのに来る人もいる。延長料金も払おうとするねん。いいから、これで晩ご飯でも食べてって言ったよ。

 人生ゆだねられるから、おすすめできる仕事じゃない。外せば、恨まれるし。

 でも、ちょっとでも、元気になってくれたら。こんなご時世やけど、明るい気持ちで帰ってもらいたいと思ってる。悪い話ばっかりにならへんように、できるだけ言い方には気をつけてるんよ。

 感染予防で、お茶も出せずごめんね。

 よかったら、あめ持って帰って。

【兵庫のコロナ情報】←最新のコロナニュースはこちら

新型コロナ神戸
もっと見る
 

天気(9月7日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 20%

  • 37℃
  • ---℃
  • 40%

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

  • 35℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ