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写真撮影のために集合した豊岡市内の地域おこし協力隊メンバー=2021年6月(豊岡市提供)
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写真撮影のために集合した豊岡市内の地域おこし協力隊メンバー=2021年6月(豊岡市提供)
竹野海岸の近くでゲストハウスをオープンした権赫讃さん(左から2人目)と家族=豊岡市竹野町竹野
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竹野海岸の近くでゲストハウスをオープンした権赫讃さん(左から2人目)と家族=豊岡市竹野町竹野
地元農家と一緒にニンジンの収穫をする森本莉永さん(左)=豊岡市但東町
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地元農家と一緒にニンジンの収穫をする森本莉永さん(左)=豊岡市但東町

 都市部から過疎地域などに移り住んで活動する「地域おこし協力隊」で、移住先として豊岡市の人気が高まっている。最新のデータ(2020年10月時点)では、受け入れ人数が31人と兵庫県内トップ。全国1065自治体の中でも8番目に多い。演劇や舞台芸術に関わる移住者が最も多く、市が掲げる「演劇のまちづくり」が魅力の一つとなっているようだ。(石川 翠)

■兵庫は16自治体で118人

 同協力隊は、地方への定住を進めるため、総務省が09年度に開始。活動は農林水産業への従事や地場産品のPR、住民支援など多岐にわたる。活動期間は1~3年で、国が1人当たり年間470万円を上限に活動費などを支援する。

 同省によると、20年度は全国1065自治体が5560人(前年度比57人増)を受け入れ、兵庫では16自治体で118人が活躍している。

 豊岡市は14年度から開始し、これまでに計69人を受け入れた。初年度は2人だったが、20年度は31人、21年度は41人となり、近年は増加傾向という。募集人数に対する応募倍率も高く、20年から21年にわたり41人を募集した際は4・3倍の177人の応募があった。

 現在、市内にいる46人の活動先は、「演劇のまちづくり」の普及もあり、豊岡演劇祭などの演劇や舞台芸術関連が12人で最多。他に出石焼や豊岡杞柳(きりゅう)細工などの伝統工芸が6人、農業関連が4人と続く。

 近年は、全国の自治体や団体が加入する民間の移住支援サイト「SMOUT(スマウト)」を見て、協力隊に応募する人がほとんどという。スマウトでは20年度、移住者の関心を最も多く集めたとして、同市が人気1位となった。

 市の担当者は「市域の広さから竹野海岸や神鍋高原、山あいの集落などさまざまなロケーションがある。さらに、ジェンダーギャップ解消を掲げていることなど、面白そうなまちだと思ってもらえているのでは」とみている。

■コロナ禍で「海外」希望組が転身

 地方に移り住んで活動する地域おこし協力隊員から人気を集める豊岡市。「演劇」を柱にしたまちづくりや農業、自然環境を生かしたゲストハウス運営など、隊員たちは多様な夢に向かって取り組んでいる。

 「演劇祭が活動にあったのは意外だった」。東京都内の劇場で働いた松岡大貴さん(32)は、世界有数の演劇祭を目指す「豊岡演劇祭」の立ち上げに携わるため、2020年4月に関東から移住した。

 同年9月には、周辺会場のプログラムを担当。「期間中は他のジャンルの隊員の手を借りて会場を運営した」と振り返る。活動期間は来年3月までだが「任期後も携わりたい」と話す。

 映像製作会社経営の権赫讃(コンヒャクチャン)さん(32)は韓国生まれ、大阪育ち。同市竹野町の海辺の古民家を購入し、リフォームして昨年春、妻と子ども3人と移り住んだ。

 家族との時間を取るため、環境を変えたかったという。仕事は続けており、忙しさは同じだが、自然の中で家族と一緒に過ごせることがメリットという。

 20年後には人口の半減が予想される同町。「子どもが成長したときに出て行くしかないのは悲しい」と、ゲストハウスを始めた。学習塾を併設した中高生の居場所づくりも進めている。

 農業に携わる森本莉永(りえ)さん(24)は1年前、神戸市から来た。青年海外協力隊員としてウガンダで農村開発に従事する予定だったが、新型コロナウイルス禍で派遣が中止となった。

 日本の農村の活性化に携わりたいと、地域おこし協力隊を思いついた。「現役(の協力隊員)が多く、ノウハウがありそう」な豊岡市を選んだという。

 当初は田植えや野菜の収穫だけでやっとだったが、次第に小学生向け農業スタディーツアーの企画や都市部での販路を拡大。「廃棄される野菜の活用も考えたい」と意気込む。(石川 翠)

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