東京・有楽町で兵庫の特産品を販売するアンテナショップ「兵庫わくわく館」が、21日の営業を最後に閉店する。兵庫県の行財政運営方針見直しの一環で、2021年度で補助金が打ち切られる方針となり、存続を断念した。
同館は、企業経営者ら有志による「兵庫県特産物発信協会」が11年から運営。全国のアンテナショップが集まる有楽町駅前の東京交通会館地下1階という好立地で、地酒や菓子などを販売してきた。
明石焼や鶯ボール、有馬温泉の炭酸せんべいなど、首都圏で手に入りにくい商品を求める客に重宝され、19年秋には店舗面積を約3倍の約79平方メートルに拡大。だが、新型コロナウイルス禍による営業時間短縮や人出の減少など、逆風にさらされた。県の補助金は、20年度以降は年間約2400万円だった。
同協会理事長で蔵元・本田商店(姫路市)の本田真一郎会長は「商売抜きで兵庫の文化や魅力を発信しようとしてきたが、補助金がないと存続は難しい」と無念さをにじませる。
県観光推進課の担当者は首都圏での発信の方法を見直すとし、「アンテナショップの在り方は変わってきている。個人への直販だけではなく、今後は百貨店やレストランなどへの販路拡大を念頭に、拠点はつくらず兵庫の逸品をアピールしたい」と説明。22年度当初予算案には約1100万円を盛り込んでいる。特産品のセレクトショップで約20品目を試験販売し、富裕層をターゲットに商品改良につなげたい考え。
東京でのPRイベントの拠点として同館を活用してきた姫路市は「一定の知名度もある場所だっただけに、なくなるのは残念」(市東京事務所)としている。(永見将人、西井由比子)