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 災害時に連絡が取れない安否不明者について、全都道府県の34%に当たる兵庫など16府県が、家族の同意がなくても氏名を公表する方針であることが12日、共同通信の調査で分かった。ほかにも、効果的な捜索に役立つ場合は同意なしで公表するなどとした自治体もあり、災害発生から公表までの目標時間を「7県が『ある』と答えた」ことも判明した。

 静岡県熱海市で昨年7月に起きた土石流災害で、発生の約58時間後に県が安否不明者64人の氏名を公表。多数の生存者情報が寄せられ、捜索範囲を絞り込めたのを機に、迅速な対応を意識した動きが広がってきた。

 1~3月、47都道府県に災害時の安否不明者と死者の氏名公表を巡る方針などを尋ねた。

 安否不明者の氏名を「家族の同意がなくても公表する」としたのは16府県。10県は「家族の同意を得て公表する」と回答したが、中には「円滑な捜索や救助に役立つと判断した場合は、同意がなくても公表する」などと記した県もあった。

 「公表しない」とした自治体はなかった。「その他」を選んだ21都道府県でも、ドメスティックバイオレンス(DV)被害者らに配慮する住民基本台帳の閲覧制限がないことなどを前提に、公表するとの回答もあった。

 災害発生から公表までの時間目標については、阪神・淡路大震災の経験で、発生から72時間で不明者の生存率が著しく下がるとされることを意識し、2県が「72時間以内」と回答。5県は「48時間以内」とした。

 過去の災害で、個人情報保護などを理由に氏名を出さない自治体があった一方、2018年の西日本豪雨では岡山県が迅速に不明者の氏名を公表した。

 死者の氏名を「遺族の同意がなくても公表する」としたのは3県。「遺族の同意を得て公表する」は25道県だった。3府県は「迅速な救助活動につながらない」などとし、公表しないと答えた。

 兵庫県は安否不明者、死者の氏名をいずれも原則として「家族の同意がなくても公表する」と回答。県の個人情報保護条例に基づき、本人や家族の不利益が大きい場合を除き、公表する公益性があるとした。

 例外として、DV被害者らに配慮する住民基本台帳の閲覧制限があるなどの場合は非公表とする。また、家族の同意が得られない場合は、報道機関に公表を望まない旨を伝達した上で、氏名を公表する。

 災害発生から公表までの時間目標は「ない」とした。ただし、特に安否不明者について、救急救助を要する緊急時などは早めに公表するという。

【行方不明者と安否不明者】災害による被害状況の報告様式を定めた総務省消防庁の「災害報告取扱要領」は、行方不明者を「災害が原因で所在不明となり、かつ死亡の疑いのある者」としている。安否不明者は、内閣府などが2021年に出した災害時の氏名公表に関する通知で「行方不明者となる疑いのある者」と定義。一般的に災害に巻き込まれた可能性があり、連絡が取れない人を指すが、後に無事が確認されるケースも多い。

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