神戸市を中心にチェーン展開するラーメン店「神戸の中華そば もっこす」関連会社の男性社長が、不適切経理の指摘を受けた社内調査後に解任されていたことが分かった。関係者によると、元社長は遅くとも4年前から直営店の売り上げなどを過少に報告した疑いがあり、差額が不明になっていたという。同社は税務署に少なくとも2千万円の売り上げの修正申告を行ったとされ、神戸新聞社の取材に「経理上のミス」としている。
もっこすは1977年の創業で、2007年に店舗運営会社「もっこすフーズ」と、麺やスープを加工する「もっこす食品」に分社化した。現在、神戸市内外に14店舗を展開する。
関係者によると、売り上げの過少報告があったとされる店舗はもっこす食品本社工場に併設する「工場店」(神戸市灘区)で、もっこす食品が直営する。元社長は日々の売上額と、釣り銭を含む店舗の残金などを日報に手書きしていたが、実際より少なく記入され続けていたとみられることが昨年、内部の指摘で発覚したという。
さらに、もっこすフーズの労働組合が昨年12月27日付で「従業員の半数以上が、もっこす食品社長の業務上横領と脱税の事実について知っている」と主張する申立書を会社側に提出。元社長は今年1月に解任された。
もっこす食品は取材に「(元社長の)責任は重く、経営体制を変える必要があると判断した」と答える一方、「横領の事実はない」と否定。「意図的なものではないと考えている。税務署への修正申告を済ませており、脱税もしていない」と答えた。
関係者によると、日報に売上額などが実際より少なく記載されていたとみられるのは、18年8月から21年7月の間に計約2千万円、日報が残っていない16~17年ごろについても、元社長への聞き取りなどを基に修正申告したという。
元社長の解任後、もっこす食品の社長を兼務するもっこすフーズの社長は「元社長は解任後も会社に在籍しているが、取材に答えられる状況ではない」としている。