太平洋戦争末期に沖縄県知事を務め、住民保護に尽力した島田叡を追悼する「島守の広場」が23日、生まれ故郷の神戸市須磨区に開設された。顕彰碑も設けられ、嘉数昇明元沖縄県副知事(79)らが除幕。命懸けの活動をしのんだ。
島田は米軍による沖縄上陸直前の1945年1月、官選知事として赴任。住民の疎開、食糧確保に取り組み、民間人を含む20万人以上が犠牲になる地上戦の中で消息を絶った。
古刹・須磨寺の近くで生まれ、育った。地元では功績を語り継ぐ場を求める声が上がり、昨年秋、「須磨島守の会」が発足。会長に就いた同寺の小池弘三貫主(66)が参道の土地を提供し、兵庫県が整備に協力した。
約400平方メートルで、一面に芝生が敷き詰められた。花壇には沖縄から運ばれた7本の琉球寒緋桜を植樹した。小池会長は「ロシアの侵攻で苦しむウクライナ国民の報道を見るたび、沖縄戦と重なり、胸が痛い。島田さんをしのび平和を考える場所にしたい」と話した。(津谷治英)