北海道・知床半島沖の観光船遭難事故を受け、兵庫県内で遊覧船などを運航する事業者が、安全対策の再確認を進めている。多くの人出が見込まれる大型連休を前に、事故防止の意識を徹底する。
神戸港でクルーズ船を運航する早駒運輸(神戸市中央区)は、知床半島沖での事故を受けて、運航を中止する基準の順守をスタッフらに呼び掛けた。担当者は「当たり前だが、もともと安全には気を付けている。改めて意識を徹底しようということ」と話す。
日本海側の香住海岸(香美町)の絶景スポットを小型船で巡るかすみ海上ジオタクシーは、設備の安全点検などを実施した。遭難事故後、予約のキャンセルもあったといい、「遊覧船は安全な運航が大前提。一つの事故が与える影響は大きい」とこぼす。
鳴門海峡で観潮船を運航するジョイポート南淡路(南あわじ市)も、運航中止基準などを定めた「安全管理規程」を改めて確認した。一方で、ルールを守れば事故が起こらないわけではないとし、判断力の重要性を強調。「遭難事故の原因が分かっておらず、新たなリスクの要因が出てくる可能性もある」とし、慎重な姿勢を崩さない。
神戸運輸監理部は、県内の旅客船事業者138社に対し緊急安全点検を指示。遊覧船事業を手掛けているか、事故を起こした船と同規模の船舶を運航している事業者13社に対しては、立ち入り点検を予定している。(小川 晶)