兵庫県豊岡市出石町鉄砲にそば職人の育成塾「出石蕎学館」が1日にオープンする。出石でもそば店経営者の高齢化や後継者不足が進んでおり、「玄人」の育成を目指す。観光客らを対象にした素人向けの体験教室などは多いが、プロ職人の養成を目的にした施設は県内で初めてという。(小日向務)
蕎学館は、出石そばの老舗「そば庄」が整備した。木造平屋の約120平方メートルで、そば打ちや調理のスペースを備える。同店社長の川原一郎さん(38)や父で会長の千尋さん(68)が指導する。施設整備には、国の事業再構築補助金を利用した。
対象は、そば店の開業を目指す人や、そばをメニューに追加しようしている飲食業者ら。3~6カ月で15回の講義があり、授業は1回3時間程度で、出石そばの歴史や文化、だしの取り方、薬味の作り方などの講義に加え、毎回、そば打ちの実技がある。最終試験があり、合格すると認定書が授与される。修了者が自店を開業する際の営業ツールに活用してもらう。
基本的にマンツーマンで指導するため、今年の受講生は1、2人で、来年以降は3、4人を想定しているという。指導は2割の小麦をつなぎに使ったそばが基本だが、修了者を対象に十割そばや天ぷら、魚のさばき方などのオプション講座を用意。飲食店経営者らの技術向上のためのコースもある。
開設は昨年3月、川原さんが思い立った。もともと、自店にそばの打てる人材がほしいと考えたことがきっかけだったが、出石のそば職人に高齢者が目立つことから、地域の活性化には人材の育成が必要-と構想を広げた。
川原さんは「従来、つてをたどって店に弟子入りするケースが多かったため、受け入れの間口を広げたい。より多くの人に技術を受け継いでもらい、出石の活性化に協力してほしい」と話している。
入塾料30万円(今年は20万円)、月額受講料7万5千円などが必要。申し込みは同店TEL0796・52・2432
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