初夏の陽気の下、早苗田を一望-。丹波市春日町の猪ノ口山山頂(356メートル)にある国史跡「黒井城跡」で、水田の水鏡と畑がパッチワーク状に並ぶ眼下の景色が観光客の目を楽しませている。
黒井城は戦国武将、明智光秀による丹波攻めに抵抗した山城。別名保月城ともいい、頂上には石垣などの遺構が残る。初心者でも登りやすく、秋以降は雲海スポットして知られる。
山頂まで歩いて40分ほど。麓には整然と農地が広がる。田植えから一カ月ほどが過ぎ、光を反射する水田で稲が順調に育つ。川西市から訪れた会社員の男性(62)は「人の暮らしがジオラマのようにぐるりと広がっている。田畑の模様が面白い」と汗を拭った。
昨年6月にクマが出没しており、丹波市観光協会は「音が鳴るものを身につけてほしい」と呼び掛けている。(小林良多)