国税庁は1日、相続税と贈与税の算定基準となる2022年1月1日時点の路線価を公表した。兵庫県内では約1万5千地点の変動率の平均値がマイナス0・2%と3年連続で下落したものの、下げ幅は前年より0・6ポイント縮小した。都市部を中心に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う下落傾向に歯止めがかかったとみられる。
県内全21税務署別で、最高路線価が最も高かったのは神戸・三宮センター街(神戸市中央区三宮町1)。1平方メートル当たり490万円(前年比5・8%減)で、2年連続の下落となった。下落率は全国の県庁所在地で最大となり、県内でも2番目に大きかった。
三宮周辺は再開発への期待感から16年以降は2桁増が5年間続いたが、センター街は物販や飲食の店舗が集中しており、新型コロナ禍による人出減の影響を受けた。一方、下げ幅は3・9ポイント縮小した。
JR芦屋駅前(芦屋市船戸町)は5・7%上昇し、近畿2府4県で最大の上昇率となった。上げ幅も2・1ポイント拡大した。富裕層の購買力を背景にテナントの入居需要が高いという。灘や西宮など神戸・阪神間の5税務署でも、駅周辺の通勤の利便性などから最高路線価が上昇した。
このほか8税務署は横ばいとなり、7税務署は下落した。下落率の県内最大は朝来市和田山町玉置の国道312号で、6・7%減の4万2千円。西脇市野村町の県道郷の瀬野村線と同額で、県内の最高路線価としては最も低かった。(古根川淳也)