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「拾われた男」俳優松尾諭さんの半生がドラマに 母校ロケで兵庫に凱旋「ぐっときた」

2022/07/08 05:30

 兵庫県尼崎市出身の俳優・松尾諭さん(46)の自伝的エッセーを原作としたNHKドラマ「拾われた男」(BSプレミアム、日曜午後10時)が、地元・兵庫で注目されている。役者を志して上京、航空券を拾った縁で芸能事務所に入所し、波乱万丈の半生を送る-という内容。母校の西宮南高校(同県西宮市)でロケがあり、4月に校長として同校に戻った元担任らは「OBが全国的に活躍し、母校の誇り」と喜ぶ。

 松尾さんは1975年生まれ。高校時代はラグビー部で汗を流した。学校行事で鑑賞した演劇に感動したのが、役者を目指す契機となり、関西学院大を中退後に上京した。下積みを重ね、NHK連続テレビ小説「わろてんか」や映画「シン・ゴジラ」などに出演。名脇役としてテレビドラマや舞台などで引っ張りだこだ。

 ドラマの冒頭で松尾さんは本人役で登場し、「人さまに拾われてここまできたようなもの」と振り返り、編集者からエッセーの依頼を受ける。

 続くドラマ本編の諭役は、若手演技派俳優として注目される仲野太賀さん。第1話は、武庫川沿いで家族が食事をしたり、高校時代の観劇やラグビー部の場面が描かれたりし、兵庫色が豊かな導入部となった。

 金なし、コネなし。情熱だけで故郷を離れ、幼なじみを頼って上京。劇団の試験に落ちるなどうまくいかないが、自動販売機の下で拾った航空券の持ち主が芸能事務所の社長(薬師丸ひろ子)で、諭の俳優人生が突然、幕を開ける。

 故郷で諭を応援する祖母に吉本新喜劇の末成映薫さん、父に風間杜夫さん、母に石野真子さん(同県芦屋市出身)、兄に草なぎ剛さんと、重厚な布陣がそろう。

 ドラマの見どころの一つは、豪華な俳優陣が「本人役」で登場する点だ。

 諭が試験を受ける実在の「劇団東京乾電池」では、審査員として団員の柄本明さん、ベンガルさんらが本人役で出演。芸能事務所の先輩井川遥さんも本人役で登場し、諭は運転手を務める。

 NHKが放送したドラマの特集番組で仲野さんは、役作りのため体重を10キロ以上増やし「多く食べて筋トレをして、上半身を大きくした」と告白。「松尾さんから『自由にやっていいよ』と言われたので、その言葉に甘えてそうしています」。「人間的に厚みがあり、憎めない存在」と松尾さんに好感を抱く。

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 西宮南高3年時の担任だった白川淳哉校長(56)は「松尾さんは周りを楽しい雰囲気にするひょうきんな生徒でした。その性格が、人を楽しませる役柄によく合っている」と話す。昨年、校門やグラウンド、クラブハウスなどを使ってロケがあり、生徒もエキストラで参加した。

 「エッセーを読んだが、彼の人となりを知っているのでどの場面も面白かった。ドラマに期待し、松尾さんの活躍を応援したい」とエールを送る。

 ドラマは6月26日にスタート。全10話が放送される。

母校ロケに立ち会い、ぐっときた

 【松尾諭さんの話】原作者の僕も驚くほど一流のスタッフやキャストが集結し、素晴らしく良い作品に仕上がっている。昨年、母校の西宮南高校や、家族と過ごした武庫川団地でのロケに立ち会ったときは、故郷に凱旋した気になり、ぐっときました。西宮は、たくさんの人たちとの出会いが僕を育ててくれたかけがえのない場所です。

(金井恒幸、金海隆至)

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