総合

イカナゴやタコと遭遇…豊かな瀬戸内海、潜って学んで食べて 明石に集えダイバー

2022/08/03 17:30

 「目の前の瀬戸内海をもっと知ってもらいたい」。そんな思いを込めて、神戸市中央区のダイビングスクール「Sionn(シオン)」が兵庫県明石市でのダイビングを計画している。地元の漁協や企業と連携し、競りの見学や豊かな海のための取り組み、取れたての魚介を食べるなど、潜るだけでなく学びや地域貢献の要素も取り入れた。企画した藤原巧巳さん(29)は「発信や身近に感じてもらうことなど、ダイバーとして海やまちのためにできることをやっていきたい」と構想を膨らませている。(金山成美)

 大阪府枚方市出身の藤原さんは、20歳でプロダイバーになり、5年前に神戸で開業。和歌山県をメインにファンダイビングやインストラクター養成講座などを実施してきたが、次第に「神戸にも海があるなら潜りたい」と可能性を模索するようになった。

 神戸市垂水区のゲストハウス「ゲラゲラ」で機会を得て2年前から、砂浜から約10メートルの場所で潜れるようになった。海の中に入ると「こんなに多種多様な生き物がいるんだと驚いた。産卵やタコの抱卵も見られて、すごく身近に感じられた」とのめり込み「潜るたびに発見がある。この海のことを広めたい」との思いが強くなった。

 ちょうどそのころ、船でロープに結んだ鉄製器具を引っ張って海底の堆積物を掘り起こしていく「海底耕耘(こううん)」の様子や効果を撮影してほしいという依頼を受け、明石市の漁協と縁ができた。さまざまな場所で潜る機会を得て、同じ海域でも場所によって海中や海底の様子が異なることを目の当たりにした。

 瀬戸内海でも有数の好漁場で知られる砂場の「鹿ノ瀬」は「一気にせり上がっていて砂丘のよう」だという。何度か調査で潜るうちに、イカナゴの群れや砂の中から顔を出す様子も目撃し、感動した。

 漁師たちとの会話からも刺激を受けた。魚が減ってきている現状や、豊かな海になるように海底耕耘をはじめさまざまな取り組みをしていることも知った。何より「海や生き物を大切にしたい思いは共通している」と感じた。

 企画したダイビング「あかしベース」は「海を知る、生き物を学ぶ、海の未来のためにできることをする」がテーマ。潜って海の中の様子を見るだけでなく、さまざまなプログラムで構成する。2023年度の本格実施を前に、今年8月20日に初めて試験的に開催。今回は潜る際に抱卵したタコが入っているタコつぼを海へ戻す。また、タコのすみかとなるつぼを沈める取り組みも実施する。

 ほかに、漁協での競り見学、漁師が講師を務める座学、競り落とされたばかりの魚介を味わうバーベキューなども予定。安全性を考慮してダイビングの対象は上級者のみとなるが、代わりに漁船でクルージングするプランも用意している。

 今後、海底の清掃、地元の酒造会社とコラボした海中醸造酒造りなど、さまざまなプログラムを企画していくという。藤原さんは「ダイバーと漁師の連携に可能性を感じている。幅広い年代の人たちが海に触れ、体験して学べる機会をつくり、海のためにできることを考えていきたい」と話している。

 今回の参加費は3万3千円(ダイビングなし1万6500円)。詳細はインスタグラム「akashi_base」で。SionnTEL078・391・0346

続きを見る
明石神戸

あわせて読みたい

総合

もっと見る 総合 一覧へ

特集