1997年に神戸市須磨区で小学生5人が次々と襲われた連続児童殺傷事件で、逮捕当時中学3年生だった「少年A」を神戸地検の主任検事として取り調べた男性(69)が、神戸新聞の取材に応じた。25年前、「14歳の凶行」は社会に衝撃を与え、Aが事件に至った胸の内は、「心の闇」と表現された。元検事は、Aを30日近く聴取した。しかし、「動機には今も分からない部分がある」と語った。
連続児童殺傷事件は、住宅街で3カ月半の間に起きた三つの事件からなる。
最初は97年2月10日、女児2人がショックレスハンマーで頭を殴られた。次に3月16日、山下彩花ちゃん=当時(10)=が金づちで頭を殴られた後に死亡し、直後に9歳だった女児が刃物で刺されて重傷を負った。さらに5月24日、土師淳君=当時(11)=が絞殺され、3日後に損壊された遺体が発見された。
6月28日、兵庫県警は少年Aを容疑者として逮捕する。元検事は、神戸地検での同事件の責任者で、Aの「調べ官」だった。
地検は、Aを家庭裁判所に送る際に異例の会見を開き、事件の構図を説明した。Aが事件に至った起点として、彼の理解者だったという祖母の急逝を指摘。「祖母の死をきっかけに『死』に強い関心を持つようになった」と説いた。元検事は取材に「Aが事件前に小動物を殺していく時期と、祖母が亡くなった時期がぴたりと一致した」と振り返り、本人も無自覚だった動機とみなした理由に挙げた。
一方で「Aの供述がうそか、本当かの見極めはあえてしなかった」と打ち明ける。少年法は、罪を犯した少年の立ち直りを重視する。元検事は「『更生』を考える資料として、客観的な証拠と明らかに食い違ってさえいなければ、調書に残した」と述べた。
その上で、14歳だからこその制約として、「一連の事件を調べるには(容疑者を拘束する)勾留期間に限りがあった」と指摘。「彼が自分の犯行当時の心情を本当に理解して話したかは分からない」と総括した。神戸家裁は少年審判で、Aの医療少年院送致を決める。検察が導いた「死への関心がエスカレートしていった」という「動機」は、事実上退けられた。
事件から四半世紀がたち、退官した元検事は現在、関西で弁護士をしている。少年Aは40歳になった。Aは自身の手記出版を契機に、被害者の遺族と接点がなくなった。「なぜ」、あの事件は起こったのか。今も不明な点が残っている。
(霍見真一郎)
【神戸連続児童殺傷事件】 神戸市須磨区の住宅街で1997年2~5月、小学生5人が次々と襲われ、2人が殺害された事件。6月に殺人容疑で逮捕された中学3年の「少年A」は14歳で、当時は刑罰の対象年齢未満だった。事件を機に、少年法の厳罰化が求められ、2001年の法改正につながった。00年に乗客が殺傷された西鉄バスジャック事件で逮捕された少年=当時(17)=は「神戸の事件に影響を受けた」と話すなど、同世代にも影響を与え、「心の闇」は時代を映すキーワードとされた。兵庫県では心の教育を見直そうと、98年から中学2年での体験学習「トライやる・ウィーク」が始まった。犯罪被害者の支援に目が向けられる契機にもなり、08年施行の改正少年法は、重大事件の被害者や遺族に少年審判の傍聴を認めた。
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