96歳で亡くなった英国のエリザベス女王が70年前に即位した際、日本が戴冠式の祝いに贈った品と同じと伝わる花器が、兵庫県淡路市生穂の津名東小学校にある。作者は陶芸家の初代井高帰山(1881~1967年)で、母校に寄贈したという。19日の英国国葬を前に、学校関係者は「世界とのつながりを児童と考えたい」と話す。
帰山は生穂出身。当時あった津名郡立陶器学校で学び、陶芸家として活動した。国内外の博覧会で多くの賞を受け、皇室に作品を献上した。
津名東小の前身・生穂第一小の「創立百年記念誌」(74年発行)には、53年にあった女王の戴冠式に帰山の作品が祝いの品として贈られたとの記述がある。
学校に残る花器は円形で直径15センチ、高さ16センチ。54年に創立80年を迎えた際に帰山が寄贈し、女王に贈った品と同じものとして代々の校長が保管してきた。現在務める稲室直樹校長(59)は「地元出身の芸術家の活躍についても、子どもたちに知ってほしい」と話す。
(中村有沙)