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センサー式の自動水栓に手を伸ばす小学生ら=西須磨小学校(撮影・秋山亮太)
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センサー式の自動水栓に手を伸ばす小学生ら=西須磨小学校(撮影・秋山亮太)
少数派になりつつある? 三角形の蛇口ハンドル=神戸市兵庫区駅前通2、関西水栓
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少数派になりつつある? 三角形の蛇口ハンドル=神戸市兵庫区駅前通2、関西水栓

 新型コロナウイルス禍は学校の手洗い場の光景を一変させた。感染対策で「非接触」が重要視される中、兵庫県内の神戸や姫路、西宮市などでは、手を差し出すとセンサーが反応し、水が出る自動水栓が主流に。住宅設備大手「TOTO」によると、学校現場向けの自動水栓の販売数はコロナ禍前と比べて5倍以上に増えたという。おなじみのひねって水を出す三角形のハンドルは、少数派になりつつあるのかもしれない。(中島摩子)

 神戸市立西須磨小学校(同市須磨区行幸町)では休み時間、子どもたちが廊下にある手洗い場の自動水栓に手を伸ばし、順番に洗っていた。森広樹校長は「ハンドルにその都度触らなくていいので、子どもの感染対策としては非常に良かった。さらには、水の出しっ放しがなくなり、節水にもつながっている」と話す。

 西須磨小ではコロナ禍に入った2020年度から、学校独自に取り換えに着手。その後、神戸市が全学校園の自動水栓化を打ち出したため、途中からは市の事業として工事を進め、21年度中に校舎全体で完了した。ただ、掃除用にバケツに水をくむ水栓や屋外は、あえて手動を残し、三角形やレバー型のハンドルを使っている。

 神戸市では昨年夏以降、市立の小中高校、特別支援学校、幼稚園の約300校園の手洗い場の水栓を、自動水栓に交換してきた。対象は約1万9990基で、今月末で工事が全て完了するという。

 TOTOが自動水栓を最初に販売したのは1984年といい、ショッピングモールや駅、公共施設などに徐々に広がった。コロナ禍でニーズが一気に加速し、2019年4~9月の自動水栓の販売数と、21年4~9月の販売数を比べると、2倍以上に増加。その中でも最も顕著に増えたのが学校で、販売数は5倍以上になったという。

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■導入コスト10倍、慎重派も

 今回、多くの学校現場から求められたのが、乾電池一体型で壁付け用の商品。電気工事が必要なく、三角形のハンドルの水栓を壁から外した後、簡単に取り換えられるという。

 TOTOの商品カタログによると、三角形のハンドルの水栓が一つ約5千円なのに対し、乾電池一体型の自動水栓は、約10倍に当たる約5万5千円。高額さが目立つが、「国の交付金などが後押しし、学校に大きな変化が起きた」と、広報担当者は説明する。

 実際、西宮市や姫路市、高砂市でも、新型コロナウイルス感染症対応の国の臨時交付金などを活用し、自動水栓化を推進。西宮市ではこれまでに小中高校、特別支援学校の約4300基を取り換えたという。

 同様の動きは同時期、全国の学校現場で一斉に起きた。「商品が根こそぎなくなり、発注をかけても、物が入ってこなくなった」と振り返るのは、神戸市兵庫区の管工器材総合卸「関西水栓」の入江佳幸所長だ。

 取り換えの波が一段落した今、「三角形の水栓はパッキンを取り換えればずっと使えるのに対し、学校では今後、自動水栓のアフターケアが課題になるのでは」。約2年ごとに電池を交換する必要がある上、修理対応もこれまでとは異なるからだ。

 そんな中、手洗い場の自動水栓化に慎重な自治体もある。尼崎市は「せっけんで手を洗った後、蛇口を閉め、アルコール消毒をする感染対策に取り組んでいる」とした上で、「自動水栓は高額な上、電池の交換など維持管理に手間がかかる」と説明。宝塚市や明石市も、費用面など似た理由で、全市的な導入はしていないという。

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