兵庫県は22日、審議会委員などを務めた有識者ら約240人分の個人情報が記された文書ファイル1冊を紛失した、と発表した。鍵付きのロッカーに保管していたはずだったが、職員が16日に確認したところ見当たらなかったという。現時点で外部に流出した情報はなく、県は「誤って廃棄した可能性がある」としている。
県によると、紛失したファイルは県庁1号館のまちづくり部に所属する課が保管していた。この課が担当する審議会に、2015年度以降に外部委員として参加した大学教授や団体代表、県民ら約240人の名前や生年月日、住所、マイナンバーを記載。謝礼金を支払う目的で、各委員に提出を依頼していたという。
今年3月20日時点では職員がファイルの存在を確認しており、4月の組織改正に伴って同課が別の部屋に引っ越す際、ファイルも段ボールに入れて持ち出された。今月16日、職員が紛失に気づき、聞き取り調査を行ったが、誰も行方を知らなかったという。
紛失した個人情報の該当者の特定を避けるため、県は所属課名を公表していない。担当者は「該当者の皆さまに謝罪する。職員に研修を行い、再発防止を徹底したい」と話している。(金 旻革)
■兵庫県内自治体 同様の失態相次ぐ
県内ではこのところ、行政機関が個人情報を大量に紛失するミスが相次いでいる。
尼崎市では6月、市の業務委託を受けた事業者側が、全市民約46万人分の住民基本台帳データが記録されたUSBメモリーを一時紛失。再委託先の社員が市の許可を得ずにUSBで情報を持ち出した上、作業後にデータを消去しないまま居酒屋で飲酒し、かばんごとなくした。
かばんはその後、この社員とは無関係のマンション敷地内で発見され、情報の流出は確認されなかったが、本人は泥酔していて記憶がなかった。
8月には、県警生活経済課の警部が帰宅途中に泥酔して西宮市内の路上で眠り込み、担当する事件の捜査資料が入ったかばんを紛失した。資料には関係者約400人分の名前が記されており、いまだ見つかっていないという。(田中陽一)