2週連続の3連休となった、秋の行楽シーズン。新型コロナウイルス禍での行動制限のない連休で、兵庫県内の観光地は書き入れ時としてコロナ禍前並みの人出があった一方、台風接近により予約のキャンセルに見舞われた施設も。夏場にピークを迎えた流行「第7波」は減少傾向にあり、県内の名所や街頭では期待と落胆の声が聞かれた。
コロナ禍で迎えた3回目の秋の連休。2021年は緊急事態宣言下による行動制限、20年は「Go Toキャンペーン」による一時的な旅行需要の増加があった。今年は行動制限はなかったものの、前半の連休の19日に台風14号が兵庫に接近した。
23~25日は大きな渦潮が期待できる「秋の大潮」だった鳴門海峡。南あわじ市を発着する観光船「うずしおクルーズ」には後半の連休最終日の25日、多くの観光客が乗船し、渦潮を楽しんだ。
観光船を運航する「ジョイポート淡路島」(南あわじ市)の鎌田勝義社長は、前半の3連休の大半は台風の影響で運休を余儀なくされたことに触れつつ、「その分が後半3連休に集中し、コロナ前よりも乗船客は多かった」と話す。
三木市の「三木里脇もぎたてキャンプ場」でも台風の影響で、連休中に入っていた予約の4割程度がキャンセルに。休業したのは1日のみだったが、支配人の鬼頭正人さん(44)は「ゴールデンウイークに並ぶ書き入れ時だったのに」と落胆しつつ、「キャンプはこれからがベストシーズン。10月の連休で巻き返したい」と前を向いた。
県内屈指の温泉街、城崎温泉(豊岡市)でも、前半の3連休にキャンセルが相次いだ。ただ、直前の予約も入り、城崎温泉旅館協同組合の日生下民夫理事長は「結果的に9割以上が埋まり、例年通りになった」とホッとした様子だった。
連休最終日の25日は秋晴れに恵まれ、神戸ハーバーランド周辺は多くの人出でにぎわった。妻と2歳の長男で「神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール」を訪れた岡山県倉敷市の会社員男性(38)は「普段は抱っこをねだってばかりの子どもが走り回って楽しんでいた」と晴れやかな表情だった。
新型コロナの第7波は7月後半から8月後半にピークを迎え、その後は減少局面に。8月25日の新規感染者は1万697人だったが、それを最後に1万人以下となり、9月25日の新規感染者は1914人だった。
神戸市内を観光していた大阪市の会社員男性(33)は「周囲の目は気になるのでマスクはするが、そろそろ気にせず遊びに出かけたい」と控えめに話した。
(まとめ・久保田麻依子)