兵庫県姫路市の小学校の一部で9月、学校給食からフルーツやゼリーが消えた。相次ぐ食品の値上げに対応するため、単価の高いデザートの削減を余儀なくされたという。兵庫県内のほかの自治体も秋の味覚のクリを使ったメニューを見送り、牛肉を使った料理は鶏肉や豚肉で代用する。各市町の担当者は知恵を絞り、物価高騰の中で限られた食材費をやりくりする。(田中宏樹)
■秋メニュー「栗ご飯」も提供できず
「献立を工夫してきたが、もう限界が近い」。姫路市教育委員会の担当者は打ち明ける。
同市中部の17小学校では、牛肉を使った料理が昨年9月の6回から今年9月は2回に減少。例年は秋のメニューに入る栗ご飯も今年は提供できないという。デザートの回数を減らして1食当たりの価格を調整してきたが、市は今後の物価高騰を見据え、近く補正予算を組む方針という。
西宮市教委学校給食課の担当者(38)は9月中旬、業者が示した食材費の見積もりに目を丸くした。海外産のむきエビが円安の影響で、春先から1・2倍ほど値上がりしていた。
同市はウクライナ危機などを受けた油の高騰を受け、コロッケやエビフライといった揚げ物の頻度を減らす。カレーや肉じゃがに牛肉を使う回数も少なくした。給食費を積み立てた基金を取り崩して値上げに対応し、担当者は「食材費を削らず、しっかりと栄養が取れるメニューを出していきたい」と話す。
■来年まで乗り切れるか…
相生市は鶏の唐揚げの肉をもも肉から安価な胸肉に変更し、レモンや塩こうじで味付けしておいしさを保つ。ふりかけは原料から手作りする頻度を増やし、既製品より費用を抑える。物価高の収束が見通せない現状に担当者は「来年まで乗り切れるか不安」と漏らしつつ、「できるだけ工夫し、おいしい給食を維持したい」と話す。
ほかにも、豊岡市は子どもたちが楽しみにするクリスマスケーキの費用を確保するため、10月にデザートの提供を控えるなど影響は各市町に広がる。
一方、神戸市や尼崎市などは補正予算を組んで物価上昇に対応する。明石市は2学期から1食当たりの食材費を約30円上乗せして献立を考えられるようになり、デザートを提供しやすくなったという。
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