厨房（ちゅうぼう）設備の販売などを手がける丸五商会（兵庫県姫路市飾磨区野田町）は４日、自前の店舗を構えず、出前や持ち帰りに特化した飲食店向けの調理スペース「まるふるキッチン」を本社内に開設した。コロナ禍に伴い、厨房機能のみの飲食業態「ゴーストキッチン」として注目されている仕組み。フードデリバリーの拡大を見据え、初期費用を抑えたい開業希望者らのニーズを取り込む狙いだ。（段　貴則）

　同社は、１９６１年に箸や折り箱の販売で創業。７５年に法人化し、厨房機器などの販売を始めた。

　ゴーストキッチンは３室あり、３口のガスコンロや冷凍・冷蔵庫、ドイツ製オーブンなどを備える。メンテナンスは丸五商会が担い、初期費用は約１００万円で、月額１８万円で貸し出す。姫路駅周辺で客席のある飲食店を開業する初期費用に比べると「１割程度」（同社）で済み、最短１週間で開業できる。

　また時間貸しの「テストキッチン」区画もある。約２０席を確保でき、１日限定の飲食店営業や料理教室も可能。新メニューの開発やセミナーにも活用できる。

　瀬尾直弥代表取締役は「地域に繁盛店が多いほど、街は元気になる。ゴーストキッチンを利用して始めた店が繁盛店となるよう後押しし、将来、自前の店を出す際の受注にもつなげたい」と話している。同社ＴＥＬ０７９・２３４・５６８１