• 印刷
最高裁判所=東京都千代田区
拡大
最高裁判所=東京都千代田区
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の全事件記録の廃棄について、神戸新聞は最高裁に事実関係を確認し、受け止めも取材した。最高裁の広報担当者への主な質問と、それに対する電話での回答は次の通り。(霍見真一郎)

 -神戸連続児童殺傷事件の記録が廃棄されていたことは、どの程度重く考えているのか。

 「神戸家裁において、本件事件記録が特別保存に付されなかった理由や、廃棄された当時の状況は不明であり、当時の神戸家裁における廃棄の判断が適切であったかどうかについて、最高裁として見解を述べることは差し控えさせていただきます」

 -最高裁は、この事件の記録を廃棄するかしないかについて、神戸家裁から相談を受けた可能性を示す記録などはないか。

 「最高裁には、当該記録などはありません」

 -最高裁通達には、「世相を反映した事件で史料的価値が高い」「全国的に社会の耳目を集めた事件」「少年事件に関する調査研究の重要な参考資料になる事件」などとある。これらは、特別保存(永久保存)が適切に運用されるよう出した通達において、各裁判所が判断しやすいように挙げた基準と思われるが、間違いないか。もし違うのであれば、具体的にどこが違うのか指摘してほしい。

 「それらは、それぞれ特別保存に付して保存期間満了後も保存する必要があるか-の検討対象とするものの例示として挙げられたものです。事件記録等保存規程の運用通達で例示されている事件の記録に当たれば全て2項特別保存に付するという規律ではなく、あくまで保存裁判所が保存期間の満了後も保存するのが必要であると判断したものについて、2項特別保存に付するという趣旨です」

 -通達の基準は、神戸連続児童殺傷事件に当てはめた場合、最高裁として特別保存対象に該当すると考えるか、考えないか。

 「神戸家裁において、本件事件記録が特別保存に付されなかった理由や、廃棄された当時の状況については不明であるため、最高裁としては見解を述べることは差し控えさせて頂きます」

 -今回の廃棄行為は、規程ないし通達違反の恐れはあるのか、ないのか。

 「神戸家裁において、本件事件記録が特別保存に付されなかった理由や、廃棄された当時の状況については不明であるため、最高裁としては見解を述べることは差し控えさせて頂きます」

 -廃棄の経緯が「不明」であること自体が、最高裁として問題とは考えないのか。

 「個々の記録の廃棄の判断は、記録を保管する各裁判所において行っており、また、廃棄したことを記した記録を保存すべき取り扱いを定めた通達などはありません。したがって、神戸家裁において、本事件記録の廃棄年月日を記載した事件簿や廃棄に関する書類などが残っていないため、特別保存に付されなかった理由や廃棄された当時の状況が不明であることについて、最高裁として問題があったとは考えておりません」

 -廃棄は訟廷管理官が立ち会うことなどが定められており、こういった職員名だけでなく廃棄した可能性がある期間の神戸家裁の所長名も明確に分かる。当時の担当者や管理者に聞き取り調査する考えはないか。

 「特別保存の認定は、司法行政上の裁判所が行うことになりますので、仮に当時の職員に聴取したとしても、あくまで個人の記憶や見解の範囲にとどまるものと考えています」

 -最高裁として、神戸連続児童殺傷事件の記録廃棄は、「当時の運用」において、廃棄が不適切であったと考えるか、考えないか。

 「神戸家裁において、本件事件記録が特別保存に付されなかった理由や、廃棄された当時の状況については不明であり、当時の神戸家裁における廃棄の判断が適切であったかどうかについて、最高裁として見解を述べることは差し控えさせて頂きます」

 「なお、現在各裁判所で定められている特別保存の運用は、以前重要な憲法判断が示された事件などの記録が、全国の裁判所において廃棄されていたことが広く報道されたことも踏まえ、最高裁が情報提供した特別保存に付すべき事件記録などの選定手順などが具体的に定められた運用要領も参考にして令和2年以降に定められたものです」

 「本事件記録が保存されていた当時は、事件記録等保存規程、および少年調査記録規程、並びにそれらの運用通達により、特別保存に付すための仕組みはあったものの、現在のような特別保存に付すべき事件記録等の選定手順などが具体的に定められた運用要領はありませんでした。当時、そのような具体的な運用要領がなかったことは問題であると考えられるため、そのような運用要領がない中で行われた本事件についての記録の保存の運用も適切ではなかったものと思われます」

【特集ページ】成人未満

成人未満失われた事件記録
もっと見る
 

天気(9月9日)

  • 33℃
  • 27℃
  • 30%

  • 34℃
  • 24℃
  • 40%

  • 35℃
  • 28℃
  • 20%

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

お知らせ